なほとか通信 2016 Boss Blog

第10回 石川竜一という写真家

2014年度の木村伊兵衛賞を受賞して以来今最も写真展開催を熱望されている若手の写真家、石川竜一の個展に行ってきた。

南堀江のPulpと名付けられたスペースでは組み合わされた鉄パイプにプリントされた写真をそのままをマグネットで張り付けるというスタイルのインスタレーション「adrenamix」が開催されている。

独特のスタイルであることはもちろんのこと作品に込められた石川本人の熱量が度を越えていることは言うまでもない、彼が置いて行った爆弾に触れてしまったかのようにわずかしかない空間の中で汗だくになって写真にむさぼりつくような体験に鼓動が収まらない。ある意味危険なのである。

福島のPINEBROOKLYNでは新作「CAMP」の写真展が開催されている。本日最終日ということで一杯かと思いきやそうでもなかった。石川にして初めての人の出てくることのない写真集「CAMP」。日本国内の深い山に入り込みサバイバルの中で撮られた自然風景。そこにはまた違う意味での石川のあがきとどん欲なまでの生への凝視があるのではと思ったりする。

何度も言うが石川竜一は今一番の注目の写真家であるとともに、フランスの写真家アントワン ダガタや中国の写真家任航(レンハン)とも肩を並べ、若手の森山大道とも言われる写真家になり始めているのではと思うのである。

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