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蓮井 豊 Yutaka Hasui

大阪府堺市在住。2014年11月、ふとしたきっかけから、地元の堺で、料理職人の9割が使用する伝統産業である包丁職人や刀匠を捉えたシリーズを取材開始。写真集や個展開催に向けて、鋭意製作中。

展示(グループ展)
2015年9月 御苗場関西
2016年9月 御苗場関西
2017年9月 KOBE*HEART FOTO倶楽部
2018年5月 KOBE*HEART FOTO倶楽部
2019年5月 KOBE*HEART FOTO倶楽部

Title

Statement

もののはじまりはなんでも堺

最初は、ただただ、その場の閃光と音に圧倒された。1枚の写真は、そのときの瞬間を切りとったものに過ぎない。しかし、一瞬を積み重ねることでときの流れができると思う。1枚の写真は、見る人によっても捉え方が違うのも事実である。これらの事実が、ときどき、われわれの潜在意識へ働きかけることもあるかもしれない。明確な事実は、日本刀が人を殺める能力をもつ武器である。それに加えて、ときを経つにつれて、機能から様式へ美意識が変化し、日本人の言葉と生活に密接に関わってきた。例えば、トテ・テン・カンと刻む音のリズムは、間合いを外せばトン・チン・カンになる。この言葉の捉え方は、ほんの些細なことかもしれない。それゆえ、写真を撮ることは、本当に小さなことかもしれない。でも、いずれ、大きな流れになるかもしれない。だから、私は、写真の力を信じている。もし、これらの写真が誰かの思考に働きかける触媒になり、共感が生まれれば何かが変わるかもしれない。それが、私が育った堺で包丁・刀鍛冶を撮り続ける理由である。ちなみに、現代の刀匠は国家資格である。全国に、推定200人くらいしか存在しない。加えて、年間最大24振りという厳しい製作制限もある。現在、大阪の刀匠は、堺の2人しかいない。その1人が行っている毎秋の公開古式鍛錬を切りとった。