PURPLEのこと 第一夜
PURPLEの「場所」について

ギャラリーがある京都市中京区式阿弥町は、油小路通りをはさんだ30件ほどの小さな町ですが、新風館や京都国際漫画ミュージアム、京都を代表する企業の本社ビルがある烏丸御池エリアに隣接していながら、古都京都らしい落ち着いた風情が残り、最近ではサードウェーブコーヒーの専門店が次々とオープンするなど今注目のエリアです。鎌倉時代には時宗の道場「式阿弥道場」があったことが伝わっており、町名の由来にもなっています。浄土宗の一派である時宗の開祖 一遍上人は、阿弥陀仏を御本尊とし、盆踊りの起源ともなった念仏踊りで衆生を助けたことで知られていますが、上人が活躍した当時は、日本全国から「阿弥衆」という芸能民が集まり、華やいだ文化の集積地であったと思われます。「一所不住」を実践し、旅に生きた一遍上人の様に、時代の流れに逆らわず、何者をも受け入れて、凝り固まらず、懐の深い、そんな空間になればという思いを込めてギャラリー作りを始めました。人々が集まり、話すように、歌うように、踊るように。人の環が広がっていくそんなスペースにみなさまをご案内できればと思っています。
画像は着工前の式阿弥町ビル外観。2021.11.12撮影