屋根を科学する
家を建てる、今回は日向の日蔭者 - 屋根を科学する-と題して日頃スポットの当たらない屋根について考えてきましたが、ポイントをまとめてみます。
その1、屋根材の種類によるメリット・デメリットを考える
万能の屋根材は存在しない為、家の規模や周辺環境を考慮して機能性や経済性のいい最善の屋根材を選ぶ。
その2、屋根の形状による特徴を理解する
屋根の形状の特徴を理解して、機能面を損なわない屋根づくりを考える。
その3、付加機能を加える
耐熱性・耐震性などを考慮した新しい工法を取り入れて、変化していく環境へ対応する。
その4、太陽光発電や屋根上緑化のプラットフォームとしての位置づけ
太陽光発電が設置可能かは重要な要素であり、屋根の形状・屋根材による設置時の料金等も含めて事前に検証する。
その5、デザイン性を取り入れる
外観を構成する重要な要素として屋根をとらえ、地域景観にも配慮したデザインを選択する。
一番のポイント 立地の検証
今建てようとしている家がどんな場所にあるかを検証する。降雨の量や質、雪や風および日照などの自然環境、家の向きや海山などに隣接しているかなどの立地環境などを考慮して、何に対して一番重点を置くかで屋根を考えることが重要。
私達が家を建てる場合、まず最初に間取りを決めて次は・・・という感じで屋根はどうしましょうと言う話が出てくる頃には家の基本躯体はほぼ決定していると思います、屋根によって大きく間取りの変更を余儀なくされると言うものではないと思いますが、静かで安全で暮らし良い家を望む時、屋根というものの役割の大きさを忘れないで家の設計を考えてみたいと思います。
編集後記
サイクロイド曲線という言葉をご存じでしょうか?屋根についてあれこれと調べているうちに法隆寺の屋根の曲線がニュートンが説いたサイクロイド曲線と同じだということが判明したと言う記事に出くわしました。ボールをA地点からB地点まで転がす時、真っすぐな板の上を転がすより、ある一定の曲線の方が早く転がるというものです。昔の人たちは屋根に降り注いだ雨水を一番早く流すために、経験を重ねた結果この屋根を設計したということなのかもしれません。いつの時代でも人の暮らしの近くに屋根があることを考えずにはいられない、そんな機会になったと思います。(写真:法隆寺金堂)(常深)
異端の建築再読
http://itan-no-saidoku.at.webry.info/200906/article_1.html