なほとか通信 2015 Boss Blog

第八回 六本木を行く

「成せば成る」という言葉はあまり好きではない。無理なことも世の中には一杯あるという風に現在では理解している。あまり無理をしていろんな所に波風を立てるよりも、じっと待ってその時を伺う

いつかはきっとと思っていると意外とその時は向こうからやって来る。もう行けないかもしれないと思っていた場所に行ける時が幸運にもやって来たのだ。

東京での仕事が案外早く終わったので六本木までやってきた。都営地下鉄大江戸線を六本木駅で下りて、外苑東通りを飯倉方面にしばらく歩いた所にAXISビルというおしゃれなビルがある。その2Fタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムでは現在、今回で22回目となる荒木経惟の個展「鏡の中のKaori写狂老人A 2015.5.25 75齢 Birthday」が開催されている。荒木経惟や森山大道などの写真家のエキシビジョンを多く開催しているこのギャラリーにはいつか行きたいと思っていたのである。

当時20歳だった僕が渋谷パルコだったかで初めて見た荒木経惟の写真展「平成元年」だったか(違うかもしれない)、その強烈な残像は今もまだ僕をざわつかせる。独特なパッションは未だに変わらないのである。当時ナムジュンパイクなど現代アートのクリエイターの個展をいくつかハシゴして見て、わからないいままに興奮していた時代の僕にはなおさらである。あれから25年。荒木は75歳になってもまだ精力的に対象に対してカメラを向け続けている。僕は45歳になろうとしている。

二度目の荒木に興奮しながらギャラリーを出てくると妙な違和感に包まれていた。なんか知っている。この文字はIMA。

IMA CONCEPT STOREは実は六本木にあったのだ。何の予定もなく無邪気にやってきた僕はまた無邪気に驚いている。またしてもあんなに焦がれていた場所の近くに僕は立っていたのだ。しかもたった一つ上の階に。3Fにあがる。

IMAについて話さないといけない。IMAはLIVING WITH PHOTOGRAPHYをコンセプトにした季刊誌である。年4回世界の写真情報を日本の僕たちに伝えてくれている。そしてここはIMAのコンセプトを体現したストアになっている。希少な本でも身近に置いてあって誰でも見る事が出来る。そしてアーチストの「写真」という作品を額に入れて部屋に飾ると言うあまり日本人にはなじみのない写真との付き合い方を出来るだけ身近に提案している。日本で唯一写真だけにコンセプトを置いた雑誌で今一番輝いている真面目な雑誌だと思っている。

今現在ギャラリーでは鈴木崇の「BAU」展がやっている。興味のある方はどうぞ。仕事以外の東京を僕はこよなく愛している。六本木も行けば時々都。まさしく都なのだけれど。

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