なほとか通信 2016 Boss Blog

第12回 RYAN MCGINLEY:BODY LOUD!

2016年は日本において大変重要な写真展の開催が続いている。その一つが東京オペラシティ― アートギャラリーで7月10日まで開催されているライアン・マッギンレーBODY LOUD!展である。

初台にあるオペラシティ―までは小雨が降り続いている中を駆けつけたが、土地勘が無いので開館の30分前には着いてしまった。会場周辺にはもうちらほらと来館者が集まりかけている。いよいよオープンという時間になってチケット売り場にひとすじに集まった人々をよく見ると一様に若い女性だった。

開場したばかりの美術館に行くのは初めてだった。最近の写真展では常識のように写真撮影が可能になっているので、来場者のほとんどがスマホデでカシャカシャと音をさせて撮影している。僕もやっきになって他人が映り込まないように気を付けてシャッターを切った。

ライアンが作り上げてきた写真表現はこれまでの写真が引き受けていた表現の領域を超えて、一つ上のステージに押し上げて活躍することを証明しただけでなく、写真がそもそも人に何を与えてくれるものだったのかを率直に提示してくれる。そこには推し測るべき精神世界もバックグラウンドもなくて、そこにすべてがあるではないかと語りかけてくる。

大型の展示室の壁には一面見渡す限りに作品が隙間なく張り付けてある。そこにはライアンのおめがねにかなったモデルたちがこっちを向いたりさまざまなポーズをとったりしていろんな表情を見せている。これまでに味わったことのない感覚はこの展示の方法にあるのだろうが、圧倒的な作品量と色彩に覆いかぶさられるような感覚がある。新鮮な感覚であるはずなのに妙に懐かしい。一つ一つの写真が柔らかい毛布のように包み込んでくれる感覚。幸福で美しい毛布?というものがあるのなら、じっとここでくるまれていたい!!そんな衝動に駆られる。

ヌード=ありのままの姿と解釈することは間違っているのだろう。下手をすればグロテスク、エロチックとしてとらえられがちなヌードを作品として昇華させる方法はいろいろあるのだろうがライアンが見せてくれる方法が現在のたくさんの若い人たちに受け入れられたくさんの人々に影響を与えていることがわかる、そんな展示であったような気がする。貴重な空間展示は7月10日まで、ぜひ味わっていただきたい。

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