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大阪駅はエコステーション

写真 JR大阪駅がリニューアルオープンして連日多くの方が訪れています。その大きさもさることながらデザイン・利便性・アトラクション的な要素としての巨大建築の有意義さを私達に教えてくれます。注目すべき点は大阪駅が風力・太陽光発電・雨水利用システムなどを採用したエコステーションであるということです。ホーム東側の屋根に取り付けられた計448枚の太陽光発電用パネルは、橋上駅舎のエスカレーターや照明に必要な電力の約4分の1をまかなっています。そのほか屋上で使う夜間の照明分をまかなうために発電用の風車を備えています。一番注目したいのはノースゲートビルディングから大丸梅田店側へ斜めに張り出し、ホームを覆うガラス張りの大屋根(東西180メートル、南北100メートル)は、そこに降る雨水を集め地下にある貯水槽(1万トン)に水を貯めて濾過、手洗いなどに使われた水と合わせてトイレの流し水や植栽の散水用のほぼ9割相当に使われていると言うことです。家を作る、今回は節電・省エネ・再生可能エネルギーなどが叫ばれている時代に見る、雨水利用と言うキーワードから家について考えてみようと思います。(写真:平成23年5月5日 読売新聞より)(常深)

大阪府における導入状況

JR大阪駅の様な大規模施設から一般住宅まで、様々な形態で雨水は利用されています。
ここでは、どのような施設にどのように導入されているかご紹介します。

  京セラドーム
なみはやドーム

大阪府立国際会議場
トイレの流し水、植栽の散水、冷却塔補給水等 なみはやドームでは、最大で3,400㎥の雨水を貯めることのできるタンクが設置されており、トイレの流し水や植栽の散水に利用されています。年間の雨水利用量は、約6,000㎥にのぼり、なみはやドームで使用される年間雑用水の約35%を雨水でまかなっています。
  大阪府立花の文化園
小学校・幼稚園
植栽の散水、外まわりの清掃用水等 花の文化園では、園内に降る雨を園内中央に位置する噴水池に集め、噴水用水および植栽の散水に利用しています。小学校・幼稚園では、水資源の大切さを学ぶ環境学習に生かされています。
  一般住宅 植栽の散水、洗車、打ち水、災害時の非常用水等 一般住宅では、植栽の散水や洗車、打ち水など主にアウトドアで利用されています。断水時にはトイレの流し水などにも利用されます。

大阪府雨水利用導入状況
http://www.pref.osaka.jp/kankyohozen/amamizu/jirei.html

(賀戸)

一般住宅向け商品ラインナップ

一般住宅で雨水利用を始める場合どのような商品があるのか、その一例をご紹介します。雨水利用商品を扱う株式会社タニタハウジングウェアさんにお聞きしたところ、150リットルタイプの地上設置型雨水タンクや、気軽に雨水利用を始められる雨といに取り付けるだけの雨水取り出し口が売れ筋とのことです。また、ホームセンターで容器(ゴミバケツ、コンテナ等)を購入し、雨水タンクを自作する方もいるようです。さらに、日常的にトイレの流し水へ雨水を利用できる大規模なタイプも出てきています。

 
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雨水取り出し口
パッコン(タニタハウジングウェア)


雨水を貯める容器はお好きなものをご準備下さい。

 

壁設置型 レインバンク80L(タニタハウジングウェア)


マンションのベランダ等で利用できるコンパクトタイプです。

 

地上設置型
レインセラー150L(Panasonic)


家庭菜園などを楽しむ方へおすすめの容量です。

 

地上設置型
信楽焼雨水タンク50L(滋賀県信楽)


お庭のアクセントにもなる信楽焼のタンクです。

 

トイレ雨水利用システム
レインジャー
1000L、2000L
(タニタハウジングウェア)


トイレの流し水にも利用できる大規模タイプです。

(賀戸)

取材で分かる市民の声

雨水利用について町の人々は実際どう思っているのか、雨水タンクはどの程度普及しているのかを調べる為、雨水タンクを設置している大阪府立花の文化園に足を運び、取材してみました。

家庭で雨水タンクを設置、又は雨水を利用していますか?
・バケツを置いて貯めている程度
・タンクの設置場所が無い
・ホースの方が水やりが楽
・お金を出してまで置こうと思わない
・聞いたら分かるけど、どういったものか分からない
・存在すら知らない

普及させるにはどうしたらいいと思いますか?
・もっと情報を提供する、宣伝する
・新築の家には設置する

雨水利用、雨水タンクに対するイメージは?
・節水節約、災害対策にもなっていい
・庭が広くて、本格的なガーデニングをする人向き
・田舎にありそう
・エコ  ・値段が高い

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(写真:花の工房前 樽型雨水タンク)

今回、10組約20人程度の方に雨水利用についてお話を聞くことができました。1名の方のみが雨水をバケツに貯めている程度ということで、ほとんどの方が何も行っていないことが分かり、雨水タンクが市民へ普及していないのが現状でした。もっと利点をアピールして市民への推進を行うべきだと考えさせられました。(角元)

普及促進への取り組み

雨水利用の普及促進の為に行われている様々な取り組みをご紹介します。

企業

雨水タンクを小学校や幼稚園へ寄付したり、公園など目に付きやすい場所へ設置しています。寄付された雨水タンクは、子供たちが雨水利用を通じて、見たり体験することにより、関心と理解を深め、環境学習へと役立てられています。

平成23年5月ライオン株式会社は大阪市福島区の全ての市立小学校・市立幼稚園に雨水タンクを寄付しています。

行政

地域により金額や内容に違いはあるものの、助成金制度を導入をする自治体が増加しています。雨水タンクを設置することで、降雨を一時保存し、河川への雨水流出を抑え、浸水・洪水の被害を軽減することができ、非常用水、雑用水などにも幅広く役立ちます。

助成金導入自治体一覧
http://www.raintank.info/subsidiary.html

「雨水ネットワーク会議全国大会2011in大阪」開催
平成23年8月5日から2日間、大阪ドーンセンターにて雨水ネットワーク会議が開催されます。今年4回目となるこの会議は、市民、企業、行政等が、雨水の貯留や利用に関する情報、取り組みの成果を共有し合う場となっています。雨水利用施設見学ツアーや、子供たちへの環境学習教室といったプランも用意されており、市民と連携を強め協働し、雨水利用が当たり前の社会の実現を目指しています。(角元)

雨水ネットワーク会議
http://rain-net.jp/

大阪府 雨水利用の取り組み
http://www.pref.osaka.jp/kankyohozen/amamizu/index.html

提案コーナー 2階以上ベランダ緑化

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(常深)

上手な利用で治水と利水

家を作る、今回は雨水利用について様々な角度からアプローチしてきましたが、ポイントをまとめてみます。

その1、水資源の有効活用と省エネ
捨ててしまう水を資源として有効利用し、節約出来る水道水分の省エネに貢献出来るとともに、水道代の節約に役立ちます。

その2、環境に配慮
打ち水効果による屋外のヒートアイランド対策に貢献します。

その3、水害予防効果
降雨の一時保存・流出抑制が出来る為に短期集中豪雨などがひきおこす都市型洪水への対策に有効です。

その4、災害・緊急時の非常用水の確保
非電源システムなどを使うことにより、災害時のトイレの流し水等の雑用水の確保に有効です。

その5、雨水を通して子供の教育としても有効
省エネ・節水・雨水循環などの教育的観点からも有効です。

水の重要性は国際的にも高まっています。上手に水を利用してまた巧みに水を操る循環型社会が望まれている時代、家が社会につながる窓口だという認識を持って水利用について考えなくてはならないと思います。そういう意味でも雨水利用の今後の展開は注目されているとともに、さらなる普及が望まれます。

編集後記

水道スケッチ 子供の頃、暮らしていた田舎の家には、水道の蛇口の横に井戸水をくみ上げるポンプのついた蛇口が並んでありました。蛇口をひねるとかすかにポンプは音を立てて動き出し、そんなに深くない井戸の底から水を吸い上げてきました。今から思うと子供ながらに水道水と井戸水を使い分けていたように思います。水道水が無くなれば困ります。でももう一つ使える水がある社会のほうがより安心で住みよい社会だと思います。もうすぐ梅雨です。子供たちと一緒に雨水のこと、ちょっとだけ考えてみる機会になればと思います。(常深)

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