zenkaku komoji

階段猫 1

今回登場していただくのは怪談猫さん。ではなく「階段猫」さんです。そんな名前を持った覚えは無いとおっしゃるかも知れませんが、そんな名前がぴったりとくるような気がなんとなくしておるのです。

昔々、大阪のとあるところに、駐在所がありまして、駐在さんが暮らしておりました。暮らしていたかは詳しくはわかりませんが・・・ある日駐在所が引っ越しすることになりまして、駐在所が取り壊されました。駐在所が取り壊された後には、階段と猫が残ったということでした。その猫のほうのお話し。

階段猫さんがどのようにしてここにやって来て、またここにずっといるのかは誰にもわかりません。ただわかっていることはここからどこへも行かないことだけです。

フェンスの間に挟まって寝ているのはここが一番安心だからということだけではなく、ここがとりわけ気持ちいいからです。雨がさっと降った次の日の朝ぐらいが一番気持ちいいのです。

葉蔭に隠れての昼休み。ここは涼しくて気持ちのいいところです。でもときどき視線を感じて振り返るのです。振り返ってまた寝て、寝てまた振り返るのです。

自転車は通ってはいけません。でも猫は寝ても構いません。とは書いてはありませんが、夕方あたりにここで寝ていると、ちょっとだけ昼間の温かみが残っていて気持ちいいのです。

夕暮れ時、そろそろいい感じの風が吹き始めてきます。でも一番危険なのもこの時間です。散歩中の犬にときどき会うのです。ドキドキするのです。

猫にはすることがたくさんあるのです。夜には夜のすることがたくさんです。でも動き始める時間が大事なのです。待つ時は猫も待ちます。

翌朝、立ち止まって考えてみたりします。でも何のためかわからなくなるのでそんなに長くは考えてないのです。猫は考えないほうがクールだと言われています。

何段目という話ではないのです。むしろ何段目かはそんなに関係ないのです。猫にとって何段目かはそんなに意味の無い話なのです。

目があった!!

階段猫はいつも一匹
階段猫は少し疲れている
階段猫は意外とびびり

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