陳哲写真集

photobookloop.day153

陳哲「蜜蜂&可承受的」第一版二次印刷、假杂志有限公司、2018年/Chen Zhe「Bees & The Bearable」(2nd edition)Jiazazhi Press.2018

陳(チェン)さんは、1989年 中国 北京生まれの写真家である。2011年 ロサンゼルスのアートセンターカレッジオブデザイン写真専攻にて学士号を取得する。同年「Bees & The Bearable」で 第3回三影堂撮影大賞を、2012年には連洲写真フェスティヴァル年度賞、2015年 Xitek・ニュー・タレント・アワード、2016年には同名の写真集でカッセル・フォトブッ ク・フェスティヴァル最高賞を受賞するなど多くの受賞歴を持つ。2018年には東京写真美術館で開催された「愛について アジアン・コンテンポラリー」の出展作家となり初来日し、日本で最初の展示を行う。

本書は自身の自傷行為を捉えたセルフドキュメントである「The Bearable(可承受的)」(2007-2010)と、それに続き、自身と近い経験を持つ人たちを取材した「Bees(蜜蜂)」(2010-2012)の2つのシリーズから成るが、8頁の中綴じの写真冊子19編を、一回り小さいA5サイズホッチキス留めのテキストブックが挟み込んでいる複雑な造本となっている。被写体と交わした日記やメモ、手紙やチャットのやり取りなどを記した多くの言葉が、写真とともに重要な位置付けであることを伝えている。テキストブックに大きく記載されたページ表記の数字は280で終わっているが、傷を負い自ら血を流す自身と似た境遇を持つ人々の取材を通じて、多くの気づきやリサーチのプロセスなどはファイリングされナンバーリングされて、表紙もなく裏表紙もないむき出しのまま、しっかりとした外袋におさまっている。210 x 260×25 mm、280頁、カラーイメージ75、テキスト40頁、並製本、初版600部(2016年)、2nd800部(2018年)