旅の理由(わけ)

第一話 旅の始まり、香港国際空港。

香港国際空港(HKG)に降り立つといつもこの空港の便利さに気付かされる。到着ロビーを出ると目の前にタクシー乗り場があるのが、そこまではなだらかなスロープになっていて、大きなスーツケースでも少し転がすと自然と楽に転がってくれる。別の階にある出発ロビーは確かその逆だったと思う。年間6800万人(2015年)ともいわれる搭乗客数はドバイ国際空港、ロンドンヒースロー空港に続いて世界第3位であり、世界の金融、物流の中心地である香港を物語っている。以前は九龍地区にあった啓徳空港がその代わりを務めていたが、映画監督ウォン・カーウァイ(王家衛)の代表作「恋する惑星」にも登場するように、香港特有の雑居ビルをすれすれに飛ぶ大変危険でまた騒音問題を抱えた空港であった。さて写真の少女だがきっと家族か誰かが紙幣の交換をしている間の時間つぶしにスマートフォンを見ながらスーツケースに座っていたのだろうが、それでもこれから香港で大冒険をしようとしていた私にはすごく大きな挑戦に向かっていこうとする若者の背中に見えたのである。