旅の理由(わけ)

第八話 常幸の国、ハワイ。

知らない世界がまだあって行きたい国がたくさんあるのだけれど、ふとまた訪れたくなるのがハワイかも知れない。最後に訪れたのはもう10年ほど前になるが、ハワイのいいところはやはり手放しで受け入れてくれる(であろう)安心感に裏打ちされているからだと思う。ホノルルマラソンチャレンジと勇んで訪れた時のハワイはとにかくせわしなかった。スケジュールと時間に追いかけられ、今日はゼッケンを取りに決められた場所に行って予定を済ませ、明日は何時に集合するためにこの時間に起きてと追い立てられ、その上チャレンジ終了後は足を引きずりながら、あっちの観光地こっちのショッピングへと移動を繰り返した。ただいつも思うのだが、目覚めるだけで幸せの国に来たような南国の雰囲気と、雨が降ってもさっと止み、その後には見事な虹がかかるようないくつもマジックを見せられて、また見ず知らずの国のランナーともウォーカーともつかぬ者を無条件で受け入れ、やさしくしもてなしてくれるロコ達の笑顔は今でも忘れることが出来ない。世界的な地球温暖化の影響や治安の悪化などハワイの抱えている問題は多いと聞くが、常夏ではなくなっても常幸の国であり続けて欲しいと思うのである。