旅の理由(わけ)

第十五話 旅の最後はフィレンツェで、ウフィツィ美術館。

15世紀のフィレンツェでは毛織業や金融業を中心に都市が栄え、ルネサンス文化の発祥の地として芸術文化の中心地であった。銀行業を営んだメディチ家は莫大な富を背景に多くの作家に製作を求め、結果として膨大な美術コレクションを持つことになった。その歴代のメディチ家コレクションを収蔵するのがウフィッツイ美術館である。ラファエロ、ミケランジェロなどのルネッサンス期の作品を中心に、体系的にその前後の時代作品も展示されており、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」やボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」などが有名である。そして最も有名なのが美術館入り口に並ぶ長い行列である。開館前から並んでもお昼前に入れるといいほうで、美術館の形に添ってU字型にぐるっと並ぶのであるが、ほとんど変わることのない景色に観光客はみなあきれ顔であった。それでも中に入ればその圧巻の展示に身震いがするほどで、フィレンツェに来て本当に良かったと思うのである。フィレンツェは現在でもマフラーなどの毛織製品が有名で、ほかにフェラガモやマドバグローブなどの革製品の店も多い。おいしいレストランもたくさんあり旅の思い出話でもしながらトスカーナワインを飲みたいようなそんな街である。