旅の理由(わけ)

第二十話 旅は出会い、福岡。

福岡に行くと決まって中州、天神あたりの屋台に行く。もちろん有名店も一杯あるがいつも何となく勘で店を選ぶことが多かった。その日は最初に入った屋台でKBC九州朝日放送の”アサデス。九州・山口”という番組の取材を受けた。ちょうどその頃は屋台条例が施工されるタイミングで中州あたりの屋台の風景が一変するのではないかとたくさんの人を巻き込んで一大論争を巻き起こしていた。質問は”このような屋台の形態がなくなったらどう思われますか?”と言うものだったが、もちろん我々の楽しみがなくなるのは困ります!と答えた。その夜ももう一軒行こう。ということになり、また勘で一軒のカウンターとテーブルが2つだけの店に入った。我々が入ると先にカウンターに座っていたグループがテーブルに移った。それほど不思議にも思わず再び乾杯をしてしばらくすると、店主が話しかけてきた。実はお店を3日前にオープンして、お客様達が最初のお客さんでして、お祝いと言うことで良かったらこのボトル飲んでくださいと焼酎のボトルを一本くれたのだ。よく聞くとさっきのカウンターに座っていたのは店主の関係者で、我々が入って来たのでテーブルに移動してくれたということだった。たくさんのいろんな出会いがあるのもまた旅ゆえである。