HIJU GALLERY公募展
‐Open Exhibition‐

2019.10.21 - 10.27

HIJU GALLERY公募展

GALLERY STATEMENT

HIJU GALLERYは2019年12月をもちましてすべての展示を終了いたします。つきましては日頃のご愛顧に感謝いたしまして、多くの作家の皆様にギャラリーでの展示をお願いすることとなりました。今回ご参加いただいた国内外の幅広い世代の作家の皆様には、写真というツールを利用していただいて、HIJU GALLERYという空間で自らの表現をカタチにしていただきたいと思っております。本展がご参加いただくすべての作家の皆様にとって、ご来場いただくたくさんの皆様にとっても実り多きものとなりますよう祈念いたします。

2019年10月吉日

出展作家 (名前をクリックすると紹介ページへ)

syuttensya ファビアン 朝倉 池田 石毛 カガワ 金原 木全 九鬼 ザン 多田 中尾 中澤 野垣 蓮井 波多野 ホイキ 松嶋 三宅 ワタナベ
作家紹介①松嶋希七“why made me?”

「他者の存在やまわりの環境が、今現在の私の心や体を縁取り、創ってくれている」。そう語る彼女は20歳ちょっと前という多感な時期を写真と共に過ごす。写真を始めてからより感覚として知ることになった他者や自己の存在を通して、今ここで起こっていることのすべてが何か大きな力の中で巡っているのではないか?という気付きに心の平穏を見出す。タイトルがストレートに響いてくる作品。新たな創作の場へと着実に歩を進めていただきたい、さらなる成長を感じる多感な中間子。

  • 松嶋希七
作家紹介②ワタナベマコト“KEITAI Reflection”

「本作品は、ケイタイに写るもう一つの現実世界を写すことで、ケイタイと人間と社会の関係性の一部を切り取ろうとしている。」 フロム北海道!大きな体から放たれる言葉はとても優しくクレバーであり作品の繊細さにも表れている。今回は難しいテーマをすんなりとカタチに変換した。壁ではないという不規則な展示形態をあえてお願いしてみたがあっさりとクリアしていく。

  • ワタナベマコト
作家紹介③カガワナツコ 無題

香川県在住。普段より瀬戸内の風景やそこに暮らす人を中心に主にモノクロで撮影する。今回は夏のひと時の情景を切り取り淡いマットなカラープリントで見せる。同時期に「OSAKA FILM PHOTOWALK」など展示も多数行う。プリントに溶け込んでいる夏の匂いや子供たちの歓声まで感じとれるような作品となっている。じっくりとこの空間で味わっていただきたい。

  • カガワナツコ
作家紹介④ 多田 洋 “亡霊の目”

街を歩き人工的な構造物や建物など目を奪われる対象に必然とカメラを向け撮影を重ねた。自宅に戻り安アパートの一室を暗室にして自らプリントすることにこだわり、自分の表現を追求している。「亡霊の眼」とはいささか誇張ではあるが「写真との出会いが私にとっての生きる目的となった」と言うところに今回のテーマのベースがある。モノクロゼラチンシルバープリントの集合体でご覧いただきたい。

  • 多田洋
作家紹介⑤ 野垣 こころ 無題

愛おしさや狂おしさから発する表現だけではおさまらない作家独特の色彩表現や絶妙な構図に圧倒される。新たな才能を感じずにはいられない。「私はこれからも彼を写真で残していく」と語る視線の先にはまるでぶれることのないポイントのようなものが見えているのだろうか?もう少し長くもう少し多くの作品に今後も触れてみたいという衝動にかられる魅力を持つ作家である。今の彼女の到達点を感じて下さい。

  • 野垣こころ
作家紹介⑥ 朝倉 健 無題

普段はスポーツ写真ばかり撮っているというが、今回展示しているのは路上スナップである。出身地である鳥取を出て学生として大阪で暮らす日々、カメラを持ちながら見る大阪の街にも慣れ始めた頃だろう。ディープになりがちのモノクロ表現であるがそれを軽く見せているのは普段から撮っているスポーツ写真のせいだろうか?是非ともプリントをご覧ください。

  • 朝倉健
作家紹介⑦ 木全 虹乃楓 “噤み”

木の全てが虹(ニジ)の楓(カエデ)と書いてキマタコノカと読みます。奔放にしてダンディ、パンクな振る舞いが似合う彼女だが、それはそのまま作品にも染み付いている。町中でハントして撮影モデルをゲットしてくるあたりは並々ではない。主に女性のポートレートを撮るが、「写真にすることで、自分を撮影する作業を続けている」ときっぱりと言い切る。密かに期待をしている大器の予感!

  • 木全虹乃楓
作家紹介⑧ 池田 万悠夏 “200”

美という字が歩いているような清楚な彼女だが、じつは猛禽類が獲物を狙うように高角度から対象を捉えるスナイパーである。撮影対象が建物なのか人なのか都市なのかもわからず見る者の思考回路を麻痺させる。タイトルの“200“にもあるように200mmの単焦点レンズを使い、誰にも気づかれるままに都市の風景に同化している人々を一瞬に切り取る。あなたも知らない間にイケマユにじっと狙われているかも知れません。

  • 池田万悠夏
作家紹介⑨ 三宅 章介(アキヨシ) “逃げ去ってしまったイメージ”

「人と人が街で出会い、別れ、すれ違う。私にとって街は誰の干渉も受けることのない心地よい空間でもある」。そこへあたかも侵入者のように現れる人影、その消え去る一瞬を捉える。Iphoneという新しい作家の眼を使い撮られた作品。ものすごい画力である。

  • 三宅章介
作家紹介⑩ 蓮井 豊

堺の刀鍛冶の公開古式鍛錬の模様を捉えた写真を中心に、それに携わる人々を撮った組み写真。地元堺で残り少なくなった伝統技術の守り手に光を当てることで、写真で出来ることがもっと他にもあるのではないかと投げかける意欲作。その場の閃光や音も感じてみて下さい。

蓮井豊写真

作家紹介⑪ 中澤 賢(サトシ) PLANET EYE's-BIG BROTHER is Watching You-

作品は葉っぱを用いたピンホールカメラという事だが、技法だけに収まりきらない食物からのメッセージまで写し取ったような作品。映像とともにお楽しみください。美濃和紙を使ったカードも魅力的だ。

  • 中澤賢
作家紹介⑫ 九鬼 昇汰 無題

人の形をしたものを人と認識してしまう人間の脳の曖昧さを逆手にとって、この不思議な家族写真を理解しようとすればするほど作家の手の内に嵌っていくようだ。あなたが見ているものは本当に人間ですか?という問いなのか?しかしそれにしてもこの家族仲が良すぎる。

  • 九鬼昇汰
作家紹介⑬ Fabian Hammerl

ハンブルグ在住のドイツ人フォトグラファー。阿波紙という和紙の一種にプリントされた街の風景。ざらりとした生地に街の表情がうまく重なる。写真は紙やインクなどの物質により作られているのが認識できる作品。

  • Fabian
  • Fabian
  • Fabian
  • Fabian
作家紹介⑭ 金原 理梨香 “二人の朝はなんどでも目を覚ましたいような“

彼女を撮ること。透き通るような肌の中には赤い血が流れている。その全てをかき出しても彼女の全てを知ることが出来ないのかもしれない。せめてファインダーの中の今この瞬間を残しておきたい。それが今私に出来る全てのこと。今あなたを感じること。今私を感じること。そういうことなのだろうか?

  • 金原理梨香
作家紹介⑮ ザン・シャイン(京都在住の台湾人) “日常。猫”

知り合いの帰国をきっかけに一緒に住むことになった猫のTAMA。奇妙な共同生活は京都で留学生として生活する私に変化を与える。TAMAと私の暮らしを写真におさめていくことで気づいた私のこと。TAMAの存在。生活、そして写真のこと。人生について。日本と台湾でシャッターを切る作家の一大叙事詩。

  • ザン
作家紹介⑯ 中尾 瑞希 “けだるき一日、生きるだけ”

瑞希の名にはそぐわないほど怠慢なタイトルだが、当の本人は実に毎日を溌剌として生活している。次第にかけ離れていく友との心の乖離、無意味に思える肌との接触など若者特有のベーシックなグラウンドに翻弄されながらも、そこから這い出して見える小さな希望の光をも写しこんだような新鮮さがある作品。「写真を撮る行為そのものがけだるき今日を変えてしまう一つの希望である」と作家は胸を張る。

  • 中尾瑞希
作家紹介⑰ 石毛 優花 “金影”

既に13冊の自費出版による写真集を製作するがどれも荒削りだ。しかし彼女は眼に映る全てが写真には映らないことに早くから気がついていて、個々の写真はすでに完成している。彼女に代表作が無いことはまた全ての作品に彼女の眼差しが色濃く映し出されていることの裏返しだ。何度も水で洗い綺麗な上澄みをすくい取るようにこれからも製作を続けていただきたいと思う稀有な作家である。

  • 石毛優花
作家紹介⑱ ホイキシュウ “まがたま セレクション”

玉手箱-軽々しく開いてはいけない大切な箱。
そんな箱を開けてみたくなったので今回は展示をお願いしました。関西屈指のフォトグラファーであり毎月発行される「まがたま」はテイクフリーのZINEとして人気を得ている。何を感じるかではなくて、何を見たかとそう聞かれているような気分になる。今回は最近の作品のベスト版になっている。

  • ホイキシュー
作家紹介⑲ 波多野 祐貴 “Call”

たまに宇宙のように感じる展示があるがそういう場合はだいたいその中に入って十分休めるなと私の脳が言うのです。彼女の作品を始めてみた時その作品の中に入って見たいなとあっさりと思ったのでした。

容赦ない日差しと不意に降られる様々の種類の雨。余りある湿度と絡みつく肌触りを持った台湾独特の空気の中で撮影された作品には独特の空気感が映りこむ。ただし彼女が持って帰って来るものはさらにその奥を映し出しているようである。人で言うのなら見えざる性質の混在状況を、植物で言うのなら熟成や腐敗の始まる頂点を迎える少し前の瞬間を捉えている。作家は「色彩と陰影のベール」と言うが、それをめくらないといられない衝動こそ今作のテーマであるように思う。

  • 波多野

TOPICS~あとがきにかえて~

“OPEN EXHIBITION”は無事終了いたしました。関係各位の皆様とご来場いただきましたすべての皆様に、まずは出展作家に成り代わりまして感謝いたします。ありがとうございました。 19人の作家と店主の私と20人で作り上げた不思議な展示会でした。まさに世代も問わず国籍も問わずテーマも問わず一期一会で集まった私たちは、何か凄いことが起こっているという不思議な高揚感と責任感と達成感を常に身体のどこかしらに感じながらの一週間となりました。私たちが目指したものは紛れもなく一つの形となった写真展でしたが、一番お見せ出来たのはライブ感やセッション感だったのではないかと今となっては思っております。

遠路はるばる駆けつけていただいたご親族やご友人の皆様、ありがとうございました。そしてたくさんの励ましの言葉やコメントをいただき、みな声を詰まらせたり爆笑したりしてしまいました。感想をご投函いただきました皆様ありがとうございました。

作家の皆様はまた自分のフィールドに戻り、日々の生活や作家活動を続けて行かれることと思います。今回いただいたご縁はさらに長く繋いでいければと思っております。またこんな事が大阪でできるかどうかは次の世代に託したいと思います。ギャラリーはあと少しの期間となりますがよろしくお願いします。店主。

STORY~一週間の記録~