中野道写真集

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中野道 Michi Nakano「あかつき/Akatsuki」自費出版、2020年。

中野さんは1989年アメリカ ノースカロライナ州生まれ、現在は東京を中心に活躍する写真家であり映像作家である。 上智大学大学院文学研究科修士課程修了。2015年よりフリーランスとなる。BRUTUS、 Dew、リンネルなどの雑誌編集に携わるほか、AMUSE、GAP、Spaceshower TV、YKK APなどの広告写真を多く手掛ける。またLOVE PSYCHRDELICOや雨のパレード、ディーン・フジオカ 、藤原さくらなど、アーティスト写真を多く撮影する。またYkiki BeatやASIAN KUNG-FU GENERATIONなどのPVの撮影を担当。現在も幅広い分野で活躍する。以前インタビューに答えて「写真や映像をライフワークとしていますが、ミュージシャンや作家を志望していた過去を持ち、昔音楽でやろうとしていたことを、今写真でやっているつもりです」と述べている。

本書は家族や街の風景などを中心に、日常のふとした瞬間に撮影されたカラー図版123点で構成されている。本書に対して「この本の写真は2015年から2020年頃にかけて撮影したものだ。月日も経って環境も変わったけど、相変わらず僕はちょっとしたことで浮かれたり落ち込んだりしている。そんな何でもない日々も過ぎ去ってしまうと輝いてみえるのは何故だろう。止まっているように見えた僕の時間も確実に流れているのだ。」と語っている。また「過ぎ去った日々の中には、始まりと終わりがあった。変わって行くもの、変わらないものがあった。そんなすべてが繋がって、今日も新しい朝を紡いでいる。」とも述べている。「あかつき」とは、太陽の昇る前のほの暗い時間帯を差すが、夜が終わろうとし朝が始まろうとする時間、すべての物事の成り立ちが止まらない時間の中にあるということ。そしてそれは始まりも終わりもない完全な一体の世界で行われていることを、「全一性」として捉えている。ハードカバー 変形スイス装が非常に美しい。