大門美奈写真集

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大門美奈 Mina Daimon「浜」赤々舎 、2018年。

大門さんは神奈川県横浜市出身、茅ヶ崎在住の写真家である。10代の頃よりデッサンなどを学ぶ傍ら、写真を撮り始める。東京農業大学卒業。2013年までは証券会社で働いていたという経歴を持つ。造園学を学んでいた大学時代に、卒業論文制作の為に訪れたスペイン・アンダルシア地方の街グラナダに出会い、以来数年に渡り繰り返し撮影している。多くのシリーズを持つが、ポルトガルを撮影したシリーズ「Portugal」で、2011年リコーフォトギャラリーRING CUBE(現リコーイメージングスクエア銀座)の公募展に選出、以後写真家としての道を進む。また茶道の家元に密着したドキュメンタリー「花月-Kagetsu」で、2012年第1回キヤノンフォトグラファーズセッションファイナリストとなり展示する。2014年長きに渡り撮影してきたグラナダの、イスラム教とキリスト教の文化が入り混じり調和する世界の風景や建物、人を捉えた写真をファースト写真集「Al-AndalusーJPCO日本の写真文化を海外へプロジェクト第9弾」(桜花出版)として刊行する。その他に無印良品とのコラボレーション企画「本日の箱庭 — The Miniature Garden」に参加、自身が作る二段の弁当箱を箱庭に見立てた作品は、多くの無印店舗で展開され、また「本日の箱庭展 -the Miniature Garden-」(72 Gallery、東京京橋)を開催する。2016年3月にはこれまでのシリーズを網羅した個展「The Collection」(ano ano galerie、南大塚)を開催する。現在は、「GARDÉ COLLECTIVE ×大門美奈」としてのアパレルブランドとのコラボレーションシリーズを展開、SIGMAやLEICAなどのカメラメーカー主催の講座やイベント等の講師を務め、雑誌・WEBマガジンなどへの寄稿するなど活動は多岐にわたる。

本書は作家の慣れ親しんだ湘南・茅ケ崎を舞台に「浜」に集う人々をモノクロ写真で捉えた最新シリーズである。出版社のステーメントに「浜で名前を持つ者は少ない。度々顔を合わせて話をしていても名前を知らない。」「浜で過ごしていると、名前など無くても、自分が何者であるのかも話す必要など無いように思えてくる。」「ここで暮らす人は、皆それぞれの『浜』を持つ。」「この浜の日常を、残しておきたい。記憶をただ積み上げるように、でもかけがえのない日常を撮ることが、この浜や、浜で出会った人々へのほんの少しの恩返しだと思っている。」と語っている。2018年から19年にかけて、キヤノンギャラリー銀座・名古屋・大阪の他、72ギャラリーで個展開催された。