濵本奏写真集

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濵本奏 Kanade Hamamoto「midday ghost」hito press 、2020年。

濵本さんは神奈川県横浜市生まれ福岡県育ち、現在は東京や鎌倉を拠点に、写真を表現の軸として活動しているアーティストである。高校2年生の時に引っ越しの片付けで見つけたフィルムを現像すると、全体がピンクがかった写真が出来上がって来た。操作も良く分からぬままフィルムカメラを手に入れて写真を撮り始める。2018年高校三年生の時に初個展「mi-kansei」(鎌倉)を開催。SNSを中心に反響を呼ぶ。2019年2度目の個展「reminiscence bump」(渋谷Room412)を開催。2020年には「midday ghost」を発表。東京の2会場で同時に個展を開催する。 表参道Roket(表参道ヒルズ同潤館 3F)では暗闇に浮かび上がる亡霊たちのようなインスタレーションを、Studio Staff Only(渋谷区神宮前)では風が吹き抜ける空間をめいっぱい使ったプリントを展示する。さらに会期中には、顔がうまく写らないチェキを用いた撮影イベント「壊れかけのカメラでの撮影会 ¥500/1枚」を実施。同時にhito pressよりファースト写真集「midday ghost」を刊行する。展示はその後全国に巡回されており11月にかけて「BookNerd」(岩手)「Standerd Bookstore」(大阪)「 Hightide store」(福岡)「BookMARÜTE」(香川)と続く。さらにiPhoneで撮り下ろした新作インスタレーション「Vanishing Point」を、8/ Cube1 (渋谷ヒカリエ8F)にて発表している。

本書についてインタビューに答えて「西陽の反射や、水紋、髪の毛の束、枯れた花や蝶の死骸など、実際にこの世にあるものの、その輪郭が曖昧だと感じる存在。妄想の中の幻なのか、移ろう景色の正体なのか。そんな、絶えず移ろう実体を持たない亡霊のような光景を集めた」と語っている。また「制作のインスピレーションやモチベーションの源は何?」という質問にに答えて、「言葉です。写真を撮ること自体は生活の一部になっているのですが、その写真たちを発表する際のコンセプトやタイトルは、読みものから着想を得ることが多いです。図書館で、いろいろな分野の専門書を読むのが好きです。目に留まった言葉をひたすらメモします。」と語っている。また写真集288ページ中に、多くの白紙のページが続くことに答えて、「白紙を一枚一枚めくるうちに、身体を置いてけぼりにしているような没入感を味わってほしい、という意図があります。」と答えている。久しぶりに鳥肌が立つような作家に出会ってしまったような気分になっている。現在福岡で巡回展を開催中であるが、近くは、MARÜTE GALLERY(高松)で見ることが出来る。

濵本 奏 写真展「midday ghost」11月14日(土)〜11月23日(月)祝 12:00-18:00/土日10:00-18:00 無料。

hito.pressインタビュー記事
https://www.hito.press/blog/2020/08/25/214502
濵本奏 ホームページ
https://www.kanadehamamoto.com/