リュウ・イカ写真集

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劉 怡嘉(Ryu Ika、リュウ・イカ)「A part of u/me vol.2」自費出版、2020年。

リュウさんは1994年 中国 内モンゴル自治区生まれ、東京都在住の写真家である。高校1年生の頃、写真を始める。内モンゴルで大学に通うも1年で自主退学する。日本のTV番組に興味を持ち映像制作を学ぶために、2015年 武蔵野美術大学造形学部 映像学科に進学する。ゼミで森山大道氏や志賀理江子氏の写真に触れ、次第に写真に没頭する。また授業を受けた横田大輔氏の作風に感化されたと言う。2018年 École nationale supérieure des beaux-arts(パリ国立高等美術学校)に1年間 協定留学し、現地で、個展「Puzzle Mapping」( AMAC Projects Gallery,Paris)を開催する。大学在籍時の 2019年 10月 第21回写真「1_WALL」展に「Big Brother is Watching you」を出展、グランプリを受賞する。ステートメントに「現実を見ようとすればするほど、リアルが遠ざかっていく。何もかもフラットで薄っぺらく、そして破かれやすく。人々は完璧にセットされた舞台を生きるエキストラである。」と述べている。同月、T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2020 PRE 学生ポートフォリオ展にて、グランプリを受賞。同年11月 写真展「いのちを授けるならば」を、東銀座のコミュニケーションギャラリーふげん社にて開催。「友人の『自分の身体は自分のものではなく、海からの漂着物かもしれない』という言葉から着想した海辺の物語を具現化した作品」を展示、最終日には飯沢耕太郎氏との対談も実現している。2020年1月 令和元年度 武蔵野美術大学 卒業 終了制作展(鷹の台キャンパス)に出展、武蔵野美術大学卒展 ⼩林のりお 個人賞 Christophe CHARLES個人賞を受賞する。同年同校を卒業。同じ頃アーティスト集団CC Culture Centreに参加、細倉真弓氏や横田大輔氏とともにカタログ「CC20」に寄稿、同年7月には代田橋のフロットサムブックス内で開催されたブックフェアにも参加している。同年8月 銀座ガーディアン・ガーデンで開催された 第21回写真「1_WALL」受賞展に「The Second Seeing」を出展。内モンゴルで撮影された色鮮やかな人工物と自然が混在する風景や、生活する人々の写真を中心に、展示空間を舞台に転換し、空間全体を使った展示を行う。ステートメントに「私が何かを見るとき、同時に、その何かにみられるということから、決して自由になることはできない。それは、自分のなかから第二の自分(他人)を分裂し、自分という存在を『見直す』ことなのかもしれない。完全な自我を束縛するには演技が必要になる。そうやって、社会というものはつくられている」と述べている。9月2日には赤々舎の姫野希美氏とのトークショーも開催された。また会場ではZINE「Big Brother is Watching You」「A Part of u/me」を販売。同年10月 旧「シブカル祭。」の後を受けたカルチャーの祭典「P.O.N.D.」(PARCO MUSEUM TOKYO、渋谷パルコ4階)に参加。「再生」をテーマに80ページのZIN「The regeneration of Second Seeing」を制作。同年11月 バーチャル空間で開催された東京アートブックフェア2020 VIRTUAL ART BOOK FAIR (VABF)の、NewfaveブースにZINE「A part of u/me vol.2」を発表している。その他の刊行物にZINE「腸」(2018,06)、「Sacrifice」「Through」(ともに2018、04)がある。

本書は VABFのNewfaveブースで販売された限定50部のZINEである。そのステートメントに「変な話、うちは3人家族でコップが3つしかなかった。人の家に行くと、コップが用途ごとに分けられ、お茶用やお酒用と、いっぱい置いてある。それを見て自分の常識のなさを怖く感じる。そんなバカな自分がバレないように、他人を一生懸命観察し、仕草を見習い、他人から拾ったパーツを使い、自分というものを組み合わせ、まともな人間を装っていく。」と語っている。A3用紙32枚を二つ折りにしたZINEであるが、熱量があり、重層的な絵作りが特徴的である。近日赤々舎よりファースト写真集「The Second Seeing」を刊行予定。