藤原新也写真集

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藤原新也 Shinya Fujiwara「南島街道 沖縄」スイッチ書籍出版部、1993年。

藤原さんは1944年 福岡県門司市(現北九州市門司区)門司港地区生まれの、作家で随筆家、批評家であり写真家である。大分県別府市に移り中学・高校時代を過ごす。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻中退。1969年頃からヨーロッパ大陸を横断、トルコのイスタンブール経由でインドを旅し、写真付きのエッセイを「アサヒグラフ」に発表していく。1972年「印度放浪」(朝日新聞社)を刊行。折からのヒッピーブームもあり大反響を呼ぶ。1977年 台湾、韓国、香港の放浪記「逍遙游記」(朝日新聞社)を刊行。同書で第3回木村伊兵衛写真賞を受賞する。1981年 トルコ、イスタンブールから高野山まで400日以上かけた放浪紀「全東洋街道」(集英社)を刊行。同書で第23回毎日芸術賞を受賞する。1983年「東京漂流」(朝日新聞社)で大宅壮一ノンフィクション賞及び、日本ノンフィクション賞に推挙されたが辞退する。同年「メメントモリ」(情報センター出版局)を発表。これまでに多くの個展、グループ展を開催。最新の個展に東京・京都のライカギャラリーで開催された「華のParis」がある。その他の出版物に、「西蔵放浪」(朝日新聞社、1977年)、「印度拾年」(朝日新聞社、1979年)「印度行脚」(朝日新聞社、1982年)「丸亀日記(朝日新聞社、1988年)アメリカ日記(扶桑社、1991年)「平成幸福音頭」(文芸春秋1993年)などがある。

本書には巻頭歌「君知るや南の国 光満ちてよ悲しき肉の」に続く文章があり、当時二十代後半の作家が訪れた沖縄を、21年後に再び訪れ旅をし、次第にそれは回想録とも幻想的な物語ともつかない世界に変わっていく。旅人であるという目線で撮られた写真が文章と共に響いてくる。