内倉真一郎写真集

photobookloop.day151

内倉真一郎 Shinichiro Uchikura「私の肖像」赤々舎、2020年。

内倉さんは、1981年宮崎県生まれの写真家である。日本写真映像専門学校大阪校を卒業後、六本木のアートプラザスタジオで勤務し、その後独立する。2009年 宮崎県に戻り実家の内倉写真館 (Studio Uchikura)の二代目として働きながら、現在も宮崎県で活動している。2018年道端に落ちているゴミを捉えた作品「Collection」で、 第41回キヤノン写真新世紀優秀賞 (澤田知子選)を受賞。 第33回・34回・36回キヤノン写真新世紀佳作(2010年清水穰選、2011年大森克己選、2013年椹木野衣選)があるほか、多くの受賞歴をもつ。2020年10月 写真集「私の肖像」(赤々舎)を刊行し、同名の写真展をKANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY(西麻布)にて開催する。その他の写真集には、ともに2019年に自費出版として刊行された「十一月の星」「Collection」があり、わその他の個展として、2016年「犬の騎士団」(Gallery Main、KG+Award)、2020年「私の肖像」(ブルームギャラリー)などがある。

本書は写真館に来るお客さんの中にモデルを見つけ、手持ちのカメラで5分から10分の間に500から1000カットを連写し撮影されたポートレート集である。あまりのことで我を失い呆然とする人や、より活動的にふるまう人など、せまられる状況下で見せる無意識で本質的な表情や仕草を捉えている。しかしながら多くの場合において表情の大部分が欠落しており、様々にセットアップされている場合ほど、あるいは架空の存在ではないのかと思えて不思議である。写真館のカメラマンとしての本来の意義を超えたところで撮影されたこのシリーズは、ファッション写真に近い領域にまで達していて、非常に見応えがある。