大道兄弟写真集

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大道兄弟「My name is My name is...」桜の花本舗、2021年。

大道(だいどう)兄弟は1994年山梨県生まれ、大阪府堺市育ちの兄Yukiと弟Kokiの双子の兄弟で、現在は大阪や京都を中心に活動する写真家である。普段から別々にカメラを持ち写真を撮るが、自ずと同じ対象を撮ることも多く、本作も兄弟名義で出版している。19歳から27歳までの9年間の間に2人でzineを40冊づつ作るが、周りからは思うような評価を貰えず葛藤の日々を過ごす。本作のタイトルである「My name is My name is...」には、後書きの中で「Knocking' on the door」という一文が付いてくるが、自身らと同じ境遇にある上手くいかなくて塞ぎ込んでいる人達や、喉の奥につっかかる息のしにくさに、そして困難に遭遇したいつかの自分達の為に、まずは自己紹介をして自分たちの意思やソウルを伝えれば、きっとその閉じたドアは開いて、きっと上手く行くと信じている。それは自分達やあらゆる人に持っていて欲しいお守りのようなものであって欲しいと語っている。実際彼らは写真家の石川竜一に直接会う為に沖縄に赴いたり、出版社赤々舎に飛び込んだりと、現在も自身の身体や言葉を使って、自ら会いに行って気持ちを伝える活動を続けている。

写真集は現在開催中のKG+PHOTOBOOKFAIR2021 赤々舎ブースにて購入が可能、運が良ければ本人たちに会えるかも知れない。フェア初日に届いた出来立てほやほやの写真集を手に取っていただきたい。 252×227mm、64頁、52イメージ、上製本、限定100部。桜の花本舗は私家版の出版名義であり、困難な時代を乗り越えて行く彼らの思いの現れである。(一部取材をもとに構成しております)