本山周平 SYUHEI MOTOYAMA 「日本 2010-2020」蒼穹舎、2021年。
本山さんは 1975年 熊本県八代市生まれの写真家である。2000年 東京ビジュアルアーツ写真学科研究科卒業。 2001年からは新宿2丁目の自主ギャラリー Photographer's Galleryにて活動する(2006年まで)。 2007年からの3年間 ギャラリー街道にて連続展を行う。2009年より東京ビジュアルアーツ写真学科非常勤講師。2012年 出版レーベルGRAF Publishersを設立する。これまでに国内外にて多くの個展・グループ展に出展。主な出版物に「日本2001-2010」(蒼穹舎、2010年)、「GRAF PHOTOBOOK2-東京-」 (GRAF Publishers、2021年)などがあり、主な受賞歴には、1999年 第20回「キヤノン写真新世紀」佳作、2011年 さがみはら写真新人奨励賞がある。
2010年に刊行された「日本 2001-2010」の続編として刊行された本書は、判型も同じく日本全国を訪れ中判カメラで撮影されたモノクロ写真で構成されている。前作同様際立った瞬間や、独特な風景、踏み込んだポートレレートを避け編集されているが、対象が非常に曖昧になるほどの引きの構図が特徴的なのは本書の方である。ほとんどの写真に写り込んだ人ないし動物には圧倒的に生活感があるが、対象として撮りたかったわけでは無いと言うほど風景化している。全く自分事ではない風景、日本人的な距離感のする写真、時空を超えた異邦人が写した日本の記録写真とでも言いたげな写真の数々に驚愕するのである。
現在、大阪 豊中にあるギャラリー176(布垣昌邦さんキュレーション)にて、本山 周平個展「日本 2010-2020」が開催されています。20年にも及ぶ日本各地の風景を捉えた「日本」シリーズより、新作写真集「NIPPON 2010-2020」(蒼穹舎、2021年)から、モノクロ小全紙29点の展示となっています。写真集とプリントを見比べながら見ることが出来る非常に面白い展示となっています。残り1週間です、お見逃しなく!!
本山周平 写真集「日本・NIPPON」2010-2020、242×231mm A4変型、111頁、モノクロ 94イメージ、クロス装上製本、600部、蒼穹舎、4,400円(税込)。