川口英人写真集

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川口英人 Hideto Kawaguchi「季節のない街」専門学校ビジュアルアーツ・青幻舎、2007年。

川口さんは1976年 福岡県生まれの写真家である。九州デザイナー学院 (現九州ビジュアルアーツ)写真学科卒業。

本書は第5回 Visual Arts Photo Awardにおいて大賞を受賞後、4名の審査員監修のもと 2007年に青幻舎より刊行された。版元紹介文には「かつて炭都と呼ばれた、福岡県大牟田市。古いキャバレー、極彩色に飾られたダンスホール、そこで働く異国の女たちとの交流は著者自らの青春の日々でもあった。当時も今も在り続ける街の原光景。」とある。

以前、炭鉱写真に傾倒していた頃に出会った写真集であるが、今見返して見てもこの本の稀有さがわかる。川口さんのその後の情報もなかなか探れないので、実にこのような写真はまだまだ全国に埋もれていて、探されることも脚光を浴びることもなくやり過ごされているのだと思える。そしてそれはこのアワードの意義を十分に物語っている。審査員である写真家の百々俊二氏は「希です。不思議な世界です。ここだけで宇宙です。日本は、アジアです。」、写真評論家である飯沢耕太郎氏は「日本というよりは、アジアのどこかの街をとらえたよう。時間が真空パックされて止まってしまったような地方都市の雰囲気がよく出ている。」と評している。

川口英人/Kawaguchi Hideto 季節のない街/A Town Without Seasons Visual Arts Photo Award大賞(第5回)受賞作、森山大道, 瀬戸正人, 飯沢耕太郎, 百々俊二 監修、A4変形、144頁、並製本、2007年11月刊行、青幻舎。