杜釓𣽊写真集

photobookloop.day66

杜釓𣽊 (To Ka Chun, Standsfield/スタンズフィールド・トー)「The Dark Soul」Self-published、2019年)

スタンズフィールド・トー は、1976年香港生まれ、香港在住の写真家である。大学ではインテリアデザインを学ぶが卒業後独学で写真を覚え、街拍攝影師(ストリート写真家)を始める。日本の写真家木村伊兵衛や森山大道を敬愛し、マキナ67WやGR21、Lomo LC-A 120 などのフィルムカメラを用い、主にモノクロで撮影をする。写真集はこれまでに3冊刊行しているが、いずれも100部限定のSelf-publishとなっている。2014年に最初の個展「 Life Moment 『 瞬 』( UA City Plaza.Hong Kong)を開催、2017年には台北国際写真芸術交流展に「Mandala」を出展、同年大阪で開催された「Unknown Asia 2017 」にも出展している。

写真集によって街の切り取り方が違うのは、使われた機材が違うからのようだが、いずれもその当時の香港の様子を今に伝えている。中でも最新作の「The Dark Soul」では、極力人を排除した絵作り(あるいは抽象的な表現としての人、もしくは人の存在を感じさせる何か)で、香港の持つ複雑な社会状況による混乱や不安感、未来像を描けない人々の失望や孤独を表現している。「Watch stealthily」(2013年)に見るような街を一瞬で切り取ったような爽快さや、表面上に見る街の風景の面白さ、「Life Moment 『瞬』」(2015年)に見る人を中心としたポートレート的表現は一切見られない。すべてが過ぎ去ってしまったような街を見ているようで、自己の内面世界に向けての表現に特化しているようである。ちなみに本書には写真家の瀬戸正人さんが序文を寄せている。

To Ka Chun, Standsfield ホームページ
http://www.tokachun.hk/