リー・フリードランダー写真集

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Lee Friedlander(リー・フリードランダー)「Nudes」Pantheon Books,New York、1991年。

リー・フリードランダーは、1934年アメリカ・ワシントン州・アバディーン(Aberdeen,Washington)生まれの写真家である。ロサンゼルス・アートセンター(Art Center College of Design)で写真を学ぶ。1956年にニューヨークに移りフリーの写真家となるも、当時はジャズミュージシャンのジャケットなどを撮影したり、ミネソタ大学(The University of Minnesota)の教官として生計を立てていた。最初の個展は1963年、ジョージ・イーストマン・ハウス(George Eastman House)で開催。ウジェーヌ・アジェ(Jean-Eugène Atget, 1857-1927)、ウォーカー・エバンス(Walker Evans, 1903-1975)、ロバート・フランク(Robert Frank, 1924-2019)などの写真に影響を受けており、ワイドレンズを用い、何気ない日常風景や、都市とそこにいる人々との関係性を社会的風景としてとらえており「写真は現実を写すものではなく、写真家が見たパーソナルな側面を表現するものだ」とする。また自身が写り込んだ鏡やショーウィンドー、窓ガラス、また被写体に移り込む自身の影などを好んで撮影している。アメリカンニュードキュメンタリー写真の中心人物であり、いわゆるコンポラ写真の代名詞として日本でも広く知られている。

著書に1970年「Self Portrait」Haywire Press、1978年「Photographs」Haywire Press、1985年「Portraits」NYGS、2013年「A Second Look The Nudes」Distributed Art Publishersなどがあるほか、非常に多産である。2000年ニューヨーク近代美術館(The Museum of Modern Art)で約500点の作品を展示した本格的回顧展 「FRIEDRANDER」を開催。2005年度ハッセルブラッド国際写真賞を受賞する。日本にも何度か訪ずれており、その際に撮影した桜の写真を、2006年「Cherry Blossom Time in Japan」 Fraenkel Galleryとして刊行している。

本書は様々なモデルを撮影したヌード作品84点からなるが、ポージングや構図、モデルたちの目線の送り方までリー・フリードランダーやその時代独特の表現が見られる。そしてその評価は未来永劫不変であると思うのである。