星玄人写真集

photobookloop.day99

星玄人 Haruto Hoshi「街の火 / Luminance of Street」ガレリアQ,2007年。

星さんは1970年、神奈川県生まれの写真家である。1997年佐藤孟志氏に師事。2000年現代写真研究所卒業。以後はフリーランスとなる。2000年代初頭の新宿歌舞伎町の風景を切り取り、ガレリアQ(新宿3丁目新宿Qビル4F)に発表を始める。2003年「水銀灯」2004年「good night baby」2005年「散歩道」2007年「color time」「window shopping」。2007年5月にはファースト写真集「街の火」をガレリアQより刊行。同名の個展をギャラリーQの後を受けたサードディストリクトギャラリー(牟田義仁、星玄人、安掛正仁、宮島折恵らにより運営)で開催。また8月には「PLACE M 設立20周年記念企画展 vol.5」として、新宿のプレイスMで個展を開催する。それ以降サードディストリクトギャラリーでは、1から3か月のペースで個展を開催している。2008年「 Luminance of Streets 」(gallery netwentyeight、ニューヨーク)、「 歌舞伎町 」(nagune5周年記念企画vol.3/nagune 新宿)。2009 年 「ホシ家」(こどじ 新宿)、2010年「GAW展 パートVII」(茶房じゅんじゅん、兵庫県西脇市)など個展、グループ展多数開催。2010年吉永マサユキと森山大道が主宰する「resist写真塾」の5期生となる。2011年終了展のタイトルは「親不知」である。それ以降も卒業生としてグループ展「resist展」に参加している。2017年には2冊目の写真集「WHISTLE/口笛」(Little Big Man Books、LA)を刊行、2018年同タイトルで、第30回 写真の会賞を受賞する。7月にはPLACE Mにて「第30回 写真の会賞展」を同時受賞の 菱田雄介さんと開催した。2018年「Luminance of Streets」(GALLERY ZERO、大阪)、「Whistle/口笛 出版記念展」(Third District Gallery、東京)を開催する。

本書は1999年から2006年までに撮影された新宿歌舞伎町や生まれ育った横浜、大阪は西成 釜ヶ崎などの、いわゆる夜の街で捉えたモノクロ写真166点で構成されている。ストリートスナップも多く撮っているが、多分に計算された構図と、ある一定の関係性の中でしか映しきれないショットなども多く、作家の非常に柔和で繊細でチャーミングな感性が伺い知れる。

写真家 有元伸也さんブログ、2007年5月22日の記事に、出版当時の個展の様子を記した記事があるので掲載させていただく。

「新宿パトロール中に、三丁目のギャラリー『galeria Q』へ。本日のお目当ては星玄人さんの写真展『街の火』。(中略)狭い階段を上って、雑居ビルの一室の会場へ。扉をくぐると、既に数名の友人が祝福に駆けつけていて賑やかな雰囲気。ほんの少し言葉を交わした後に写真集を購入。そそくさと会場を後にする。そして近くの喫茶店に入ってゆっくりとページをめくる。写真を見終わった後、著者によるテキストを読んでさらに始めから写真を見る。それを何度もくり返す。どれだけ時間が過ぎただろうか、荒々しくも優しいしモノクロ写真にすっかり引き込まれていた。WEEGEEの写真を初めて目にしたとき、その事件性の衝撃の奥から滲み出る、彼の人間に対する深遠なる洞察眼に打ちのめされたものだった。久方ぶりにその時の感覚がよみがえる。人間の所業は、かくも愚かで愛おしい。熱い塊を受け取った気分だ。」