330.「ともだちごっこ」 作:内田麟太郎 絵:降矢なな/偕成社 |
ともだちシリーズ、今回は森に新しくやってきたテンの女の子とキツネのお話です。 テンは森の音楽家。テンの笛の音を聞きたいキツネに、「オオカミと3日間会わないで過ごせる?」「明日から3日間、キツネくんはあたしだけのともだち!」と条件を出してきました。 笛の音をもう一度聞きたいキツネは、オオカミとの遊ぶ約束をやぶって、テンと3日間ともだちの約束をしてしまいます。 キツネの約束を破ってしまう気持ち、後悔する気持ちがよく分かります。約束で相手を縛ってしまうテンの気持ちも。キツネとテンの気持ちの揺れ動きがしみるお話でした。キツネに会えないオオカミが、全力で心配する姿もあたたかくて、最後に2人が抱き合うシーンは一緒に泣き笑いです。 このお話を読んで、いつだってともだちで、オオカミがキツネへのサプライズプレゼントとして、テンの音楽会を計画した理由が分かりました。(「いつだってともだち」の方が新しいお話なのです。) キツネが(自分との約束を破ってしまうくらい)大好きなテンの笛の音をプレゼントするなんて、何て優しい。このお話もおもしろかったけど、「いつだってともだち」にも改めて感動してしまいました。
2021-10-05-TUE
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