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小野啓写真集

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小野啓 Kei Ono「青い光/The Glare of Youth」ビジュアルアーツ、2006年。

小野さんは1977年京都府出身、東京都在住の写真家である。 2001年立命館大学経済学部卒業後、2003年ビジュアルアーツ専門学校大阪 写真学科を卒業する。在学中から日本全国の高校生のポートレートを撮り続ける。2006年第4回ビジュアルアーツフォトアワード大賞を受賞し、ファースト写真集「青い光」(ビジュアルアーツ、青幻舎)を刊行、翌年にかけて東京・大阪・名古屋・福岡のビジュアルアーツギャラリーで個展を開催する。「自ら被写体を選ぶことはせず、被写体募集の呼びかけに応募してきたすべての高校生のいる土地へ赴き、彼らの存在とその場所をカメラに収めた」。2013年それまでに撮りためたものを「NEW TEXT」(赤々舎)として刊行。同書で2014年第26回写真の会賞を受賞する。その他の著作に「恋人募集中」(谷郁雄との共著・青土社、2016年)、「暗闇から手をのばせ」(silverbooks、2017年)、「男子部屋の記録」(玄光社、2019年)などがある。また「桐島、部活やめるってよ」(朝井リョウ、集英社、2010年)や「アンダスタンド・メイビー」(島本理生、中央公論新社、2010年)などの装丁写真や、乃木坂46「ハルジオンが咲く頃」(センターは深川麻衣、2016年)のジャケット写真など、ポートレイトを中心とした撮影で活躍している。個展、グループ展も多数ある。

本書に登場する制服を着た男女は、名前も場所もどんな誰かも明かされてはいないが、ただある時点で高校生だということには違いはない。撮影に選ばれた場所も様々で、ポーズもばらばらだが、どことなく高校生特有の何かが共通して写っているようで、写真の怖さのようなものを感じずにはいられない。モデルが現在でも年齢を重ねているだろうということを考えると、高校生と言うくくりでまとまられた本書のような存在は非常に特異だと思える。そして高校生当時の自身のポートレイトが未来永劫残るのは、大変有意義であり、不思議で素晴らしい体験に他ならない。