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山谷佑介写真集

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山谷佑介 Yusuke Yamatani「Tsugi no yoru e / On to the next night 」 Gallery Yamatani,House edition、2021年。

山谷さんは 1985年新潟県生まれの写真家である。2013年 最初の写真集「Tsugi no yoru e」(Gallery Yamatani、150部)を刊行、翌年にはsecond edition(Yuka Tsuruno Gallery、2014年)として再販するが、ともに少部数であったため幻の写真集となる。同年「ground」(lemon books、2014年、300部)、2015年「Use before」(100部限定のZINE)、「RAMA LAMA DING DONG」(Gallery Yamatani、300部)、2017年「Into the Light」(T&M projects)、2020年「Doors」(Gallery Yamatani、181部)と刊行している。本書は「ground」(second edition、1000部、2018年)「RAMA LAMA DING DONG」(second edition、1000部、2018年)に続く復刊となり、1st editionと同じく布のツギハギで作られた装丁ということもあり、復刊記念で開催された同名の個展(BOOKMARC・神宮前、2021.08.27-09.08)会場と、WEB限定販売のみでありながら瞬く間に完売した。

「時々、自分がどの時代に生きているのか、わからなくなることがある。僕は2000年代に思春期を過ごし大人になったけれど、好きなものの多くは過去の時代のものだった。だからこそ、写真には場所を超えた何かを見つけたいと思っているし、時間を超えた強度のあるものに惹かれる。/ 22歳の時、それまでやっていたパンクバンドを辞め、ひょんなきっかけから写真を撮り始めた。それから、自分にとっての写真を学ぶために海外や日本を旅したけれど、物珍しさに反応してシャッターを押している自分に何か違和感を感じていた。/ 2010年、僕はカメラを片手に、ライブハウスやその周辺に戻ってみたいと思った。なぜなら、そこに集う彼らも過去と現在の狭間を浮遊しているような存在に思えたからだ。まずは自分がどこからやってきたのかをはっきりさせたかった。/ 顔馴染みの多い東京ではなく、ほとんど知り合いがいない大阪に住むことに決め、旧友の家に転がり込んだ。毎晩路上に繰り出し、週末はライブハウスへ。新たに出来た友人たちと朝まで遊んでいたけれど、心の底から満足するような夜は一日もなく、いつも何か満たされないもどかしさを感じていた。短絡的に、ずっと何かと出会えることを期待していた。でも別にそんなものは現れなかった。/それが、この写真集「Tsugi no yoru e」です。」(山谷裕介)と語っている。

244×178mm、64頁、並製本、クラフトカバー。