蜷川実花写真集

photobookloop.day102

蜷川実花 Mika Ninagawa「Self-image 」マッチアンドカンパニー、2013年。

蜷川さんは東京生まれ、東京を中心に世界的に活躍する写真家であり映画監督である。1997年多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業。在学中からセルフポートレイトを撮り始め、1996年第7回ひとつぼ展グランプリを受賞、翌年銀座ガーディアン・ガーデンで受賞展「Walk Walk Walk」を開催。自費出版写真集「Walk3 in HongKong」を制作。同年第13回キヤノン写真新世紀で「Happiness Self Portrait 1996」が優秀賞となる。1998年ファースト写真集「17 9 ’97―Seventeenth September ninety‐seven」、翌年には2冊目の写真集「Baby Blue Sky」(両書ともメタローグ)を刊行。同年第9回コニカ写真奨励賞受賞、翌年受賞展「Baby Blue Sky」を新宿コニカプラザで開催する。1999年「女神の島のクリスマス」(原宿ナディッフ)を開催。同年「French kiss」(幻冬舎 桜井亜美と共著)を、2000年「Pink Rose Suite」(エディシオントレヴィル)を刊行、同名の個展を原宿ロケットで開催 する。2000年から2001年にかけて「Sugar and Spice」(代官山フォトギャラリー/東京、タンクギャラリー/大阪)、「まろやかな毒景色」(渋谷パルコギャラリー、名古屋パルコギャラリー)を開催。2001年写真集「Pink Rose Suite」「Sugar and Spice」で、第26回2000年度木村伊兵衛写真賞を受賞する。同時受賞は長島有里枝さんとHIROMIXさんであった。それ以降も多くの写真集を出版、個展、グループ展を開催する。主な個展に2008年回顧展「蜷川実花展 -地上の花、天上の色-」(東京オペラシティアートギャラリー、以後巡回)。2017年「蜷川実花 うつくしい日々」(原美術館、東京)、2018年「蜷川実花展–虚構と現実の間に–」(熊本市現代美術館)がある。また2007年公開の長編映画「さくらん」で初監督を務め、第57回ベルリン国際映画祭、第31回香港国際映画祭の正式出品特別招待作品となる。その他、2012年「ヘルタースケルター」(新藤兼人賞銀賞受賞)、2019年「Diner」、「人間失格 太宰治と3人の女たち」がある。またAKBのPV「ヘビーローテーション」(2010年8月)など、MVやジャケットプロデュースも多数手がけている。現在は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会理事に就任している。

本書は2013年に刊行されているが、作家がまだ20代前半であった1995年から2013年までに撮影したモノクロのセルフポートレイトと、数点のカラー図版で構成されている。極彩色で鮮烈で生々しい「蜷川カラー」と呼ばれる写真群とも、ポップでクールなガーリー写真でもない世界が繰り広げられている。2015年に開催された「蜷川実花:Self-image」(原美術館、東京)では、1階の室内の三面に映像が大きく投影される映像インスタレーション「無題」。衰退の影や死の気配を捉えた「noir」。2階には目黒川の川面に散る桜を収めた「Plant a Tree」、そして「Self-image」を展示した。作家が内包する自己イメージに肉薄した唯一の写真集だと言って良いだろう。