新納翔写真集

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新納翔 Sho Niiro「Peeling City-都市を剥ぐ‐」ふげん社、2017年。

新納さんは、1982年神奈川県横浜市生まれの写真家である。奈良原一高氏の写真集「人間の土地 / Human Land」に衝撃を受け写真家を志す。2006年早稲田大学理工学部宇宙物理学専攻中退。2009年-2010年写真家 中藤毅彦氏が代表をつとめる「ギャラリーニエプス/Gallery Niepce」のメンバーとして活動している。2007年から日本三大ドヤ街の一つである、東京都台東区山谷地区の簡易宿泊所の帳場で、週二日働きながら写真を撮り始める。2010年「山谷Now」(ギャラリーニエプス)に発表。2011年には北京のZenFotoGalleryにて個展「山谷」を開催、この時写真集「山谷」(禅フォトギャラリー)を刊行する。2012年「READYFOR」にて、日本最初のクラウドファンディングでの写真集刊行を果たし、同年「AnotherSide」(Libro-Arte)を刊行する。2012年からは川崎市市民ミュージアムにて写真講座講師。2014年からは2016年に移転予定の築地市場を、警備員として働きながら撮りまとめたものを「築地0景/Tsukiji Zero」「築地ラビリンス」(どちらも ふげん社)として刊行する。2018年より「デジタルラボPapyrus」の管理人兼ワークショップ講師としてデジタル写真技術を広く教える活動を行う。また新潮社電子書籍「yom yom」に写真都市論「東京デストロイ・マッピング」を連載中。これまでに個展グループ展多数ある。

本書は「山野」「築地」「道脈」「ヘリサイド」など、個別のテーマにおいて長くアプローチしながら作品を発表している作家の、2007年から2017年までの間に撮った都市の風景を切り取った写真集である。「都市を剥ぐ」と強い調子ではあるが、他人のようなふりをして、他人事のような都市の風景を、非常に抑揚のないトーンで表現している。ちなみに「道脈」シリーズでは、横浜から品川まで、国道1号線(第二京浜)と国道15号線(第一京浜)沿いに変わりゆく景色を撮影した作品。「ヘリサイド」は都市の縁(ヘリ)である臨海部をパノラマカメラで撮影した作品である。