陈萧伊写真集

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陈萧伊(Xiaoyi Chen)「KOAN」PJB Editions,London、2014年。

Xiaoyi Chen(シャオイ・チェン)は1992年中国四川省生まれ、現在は中国・成都とイギリス・ロンドンをベースに活動する写真家である。2014年ロンドン・カレッジ・オブ・コミュニケーション(London College of Communication)で写真の修士号を取得。2014年イギリスの出版社PJB Editionsから「KOAN」を刊行。同書で2015年度三影堂撮影賞(Three Shadows Photography Award,China)を受賞する。2017年にはForbesの注目すべき30才以下のアジア人アーティストの一人に選出。2017年Jiazazhi Pressより、同名の写真集をジャバラ折り(お経に似せて)の形で再刊している。イギリス・フォーマット国際写真フェスティバル(Format International Photography Festival)や、ドイツ・カッセルフォトブックフェスティバル(Kassel Photobook Festival, Athens Photo Festival)などに出展、さらにはPhoto Shanghai や Paris Asian Art Fair、London Art Fairなどにも参加している。

本書の図版の多くはアイスランドで撮影された自然や風景の一部であるが、あえて抽象的なランドスケープの写真を選び、傷をつけるなどを施したフォトグラビュール(photo gravure)作品で、様々な和紙に黒インクのみでプリントされており、その根底には古代東洋思想タオや禅からの影響を非常に受けている。詩的で創造的かつ挑戦的な作品へのアプローチは爽快な視覚体験を提供してくれる。Koan(公案) とは、言葉が立ち上がってくる前の領域を切り開く可能性のこと、記号化される前の精神的な意識や直感を呼び起こすために、単純化や抽象化することによって言語と言葉の不十分さと理性と論理に対する直感の重要性を提示している。トレーシングペーパーを内包したスイス装を開くと、チェンの流麗な鉛筆サインが見えてくる。