野村恵子写真集

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野村恵子 Keiko Nomura「Deep South」リトルモア、1999年。

野村さんは兵庫県神戸市生まれの写真家である。兵庫県立兵庫高校卒業、同志社女子大学英文学部中退、大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ専門学校 大阪)を卒業する。1994年4月に渡米し、ロサンゼルス ニュ-メキシコ州 サンタフェ(Santa Fe,NewMexico,LA)において、コダック社主催のワ-クショップ等で写真を学ぶ。1995年帰国後、ベトナムで撮影を始める。最初の個展「越南花眼」(WTCコスモギャ ラリー、大阪。新宿コニカプラ ザ、東京)を、1996年から97年にかけて開催。同展でコニカプラザ「新しい写真家登場」特別賞を受賞する。1998年「夢のもつれ・沖縄」(新宿コニカギャラリー、東京。Bauxite Hole、沖縄)を開催。1999年11月ファースト写真集「Deep South」をリトルモアより刊行する。同年、同名の写真展を渋谷パルコギャラリー(東京)にて開催。コニカプラザ 新しい写真家登場 年間グランプリ、1999年日本写真協会新人賞受賞。2000年には第16回東川賞新人作家賞を受賞する。2002年「Bloody Moon」(新宿コニカプラザ、東京)を開催。2006年9月「Bloody Moon」(冬青社)刊行、同名の個展を青山ブック センター本店ギャラリーなどで開催する。2009年6月「Red Water」(LIBRARYMAN、artbeat publishers)刊行。2012年10月「Soul Blue 此岸の日々」(Silver books、赤々舎)を刊行。2018年10月、入江泰吉記念 奈良市写真美術館にて、写真家古賀絵里子さんとの二人展「Life Live Love」を開催。最新刊には、長野県北アルプスの麓にある小谷村を舞台にしたドキュメンタリー「Otari-Pristine Peaks 山霊の庭」(スーパーラボ、2019年)がある。同年同書で第28回林忠彦賞を受賞し、周南市美術博物館にて受賞展を開催する。2019年「別冊月刊 冨手麻妙」(小学館)では、ベトナムに再訪し女優 冨手麻妙を撮っている。その他の写真集に「IN-Between#6 Italy,Sweden」(EU ジャパンフェスト日本委員会、2005年)、「Drop of the Light to Rushing Water」(2016年)「Okinawa」(2017年、ともにPierre von Kleist、Portugal)がある。その他個展、グループ展多数ある。

本書は90年代半ばの沖縄を舞台に、同世代の女性や若者たちの生活、街の風景などを、独特の色彩と視点で捉えた写真集である。版元の紹介文には「街や人々のたたずまいからにじみ出る沖縄を、猥褻にそして甘く切ない色彩と光で見事に写した、初の作品集」とある。本書に登場するモデルとは、その後も長く撮影を繰り返しており、後に刊行された写真集にも多く登場する。東京や福井へと場所を変えても、作家と被写体の魂は今も響きあっている。写真集「Okinawa」刊行に寄せて、「私の母方の先祖は代々何百年と、この島で生まれ死んでいきました。私の魂もこの島に引き寄せられています。今を生き、目前にある沖縄を写したいと思っています。」と記している。長く東京を拠点に活動をして来たが、2020年11月に自身のルーツの一つである沖縄県読谷村に活動の場を移している。令和の沖縄を写した、新作を早く見たいと思うのである。