浦芝眞史写真集

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浦芝眞史 Masashi Urashiba「触彩の性」、2019年。

浦芝さんは1988年大阪府生まれの写真家である。これまで大阪を中心に活動してきたが、現在は台湾台北市に拠点を移している。2011年関西大学法学部政治学科卒業。大学時代に見た写真展「古谷誠一メモワール”愛の復讐、共に離れて,,,"」(東京都写真美術館、2010年)に感銘を受け写真家を志す。2013年ビジュアルアーツ専門学校 大阪 写真学科卒業(2019年までは同校で講師および写真学科長を務める)。2013年台湾のセクシャルマイノリティーのコミュニティーに飛び込み写真を撮影、2014年自費出版のZINE「Vitamin Boys」を刊行する。2015年男性ポートレート作品「ゆく、ふれるやいなや」で、第13回写真「1_WALL」グランプリを受賞する。2016年銀座ガーディアン・ガーデンでの受賞展に「身体の森で」(In the Woods of Bodies)を発表。2018年グループ展 第5回 アラタパンダン展(Salon des artisted Arata pendants Vol.5 Extra Ordinary、CCO クリエイティブセンター大阪 名村造船所跡地、大阪)に、ひつじちゃんと呼ばれる被写体を撮った「Q」を発表。2019年5月「触彩の性」(Touching the Colors of Life and Sex/Fate)を HIJU Gallery(大阪)に発表。同年11月には「スパークリング in 森」(Sparkling)を Galerie de RIVIERE(大阪)に発表する。また同年、1977年休刊以降41年ぶりの復刊号「地平 第11号」に、百々俊二、阿部淳、山田省吾、野口靖子、松岡小智、赤鹿摩耶らとともに寄稿、同名のグループ展をVisual Arts Gallery(大阪)、 CASE TOKYO(東京)で開催する。

本書はHIJU galleryで開催された個展「触彩の性」に合わせて刊行されたzineである。ステートメントに「台湾、香港、バンコク、ダッカなど、アジアの国々を旅行しながら、また大阪に住みながら、撮った写真。たまたま生まれた大阪、そして大学時代にインドを訪れたことがきっかけで、アジアの空気が好きになり、旅行で訪れた都市。そこで、たまたま、様々な場所で、様々な出会い方をした人たち。いろいろな場所で、人生と性の彩りに触れる。性(せい)は、性(さが)とも読める。

さが【性】1.(自分ではどうしようもない)生まれつき。性質。2.運命。常のならわし。※『岩波国語辞典第七版新版』より引用

あらゆることがらは、すでに決まっていて、選べないように感じることがある。国籍、性別、外見はもちろん、場合によっては人生の選択も。膨大な彩りと運命の前で、外見や性別を元にした区別は、あまりに狭く、もはや取るに足らないものに思える。私は、自分の目で見た、今の輝きを捉えたい。」と語っている。台湾では2020年5月から同性愛者での結婚が合法化されている。セクシャルマイノリティーに理解のある国で今、作家が見つめる先に何があるのだろうと思いを巡らせながら時々届く報告を楽しみにしている。