マニマニウム写真集

photobookloop.day161

manimanium「いのちの標本」自費出版、2021年。

マニマニウムさんは1995年大阪生まれ、大阪・東京をベースに活動する写真家である。同志社女子大学 情報メディア学科卒業。2010年頃より母から譲り受けたカメラで写真を撮り始め、作品を発表し始める。2012年よりSNSを通じて撮影依頼を求め、モデルを据えての撮影を開始する。2016年初めての自費出版写真集を刊行。いつの頃からか馬庭という自身の姓よりマニマニウムと名乗リ始める。当時の状況はnoteに詳しい。

https://note.com/manimanium/n/n6bc538a3dce7

2020年12月よりデジタル写真集「#Escape」(ジーオーティー)の専属カメラマンとなり高橋しょう子などを撮影し発表する。これまでの個展に 2019年 「36.7℃」アトリエ3月(大阪市北区中崎西)。2020年7月「birth」アトリエ3月(同上)。2021年6月「体温が鳴く」予感/Hunch(東京都渋谷区代々木)。近くは 2021年9月「いのちの標本」「作家のフリをする展」BEATS(大阪市生野区新今里)などがあるほか、二人展・グループ展など多数。また自費出版の写真集や関連グッズを制作し販売を続けている

https://manimanium.theshop.jp/

本書は 2021年9月8日(水)~12日(日)まで、大阪今里にある写真ギャラリーBEATSで開催された同名の個展「いのちの標本」に合わせて刊行された。「約30人のモデルのヌードと植物、命の形をなぞった記憶。」と題されたA4サイズ、50頁、フルカラーの贅沢な写真集である。

物販コーナーに立つ本人を見ていると大御所のような対応で場慣れた印象を受けるが、以前同ギャラリーですれ違った時は、坊主頭にヤンキー風ではにかんだ姿が居候の親戚のようにも見えた。場や状況により出力の強弱を変えることの出来るタイプなのかもしれない。

ギャラリーでの展示は非常に静かなものであった。丁寧なプリントで階調の滑らかさが肌理の細やかな人物の肌色や植物の描写を際立させている。ギャラリーの照明や空間を取り込んだ、作品自体が空間を変えてしまう典型的な展示である。

一方写真集は人物や植物のフォルムを主題にまとめられており、オーソドックスな様式美の中にモデル個人のキャラクターやバックボーンを取り込んで非常に味わい深い編集になっている。命には形があり、うつろいゆく命のともしびを作家は丁寧に写真に焼き付けているのかもしれない。巻末には「この身体を/いのちを紡いでいくことに祝祭を」と締めくくっている。