中藤毅彦写真集

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中藤毅彦 Takehiko Nakafuji「Winterlicht」ワイズ出版、2001年。

中藤さんは1970年東京生まれ。早稲田大学第一文学部中退。東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。 2000年より5年間同校の非常勤講師を務める。2001年より四谷三丁目にて自主ギャラリーGallery Niepce(ギャラリー・ニエプス)を運営。2013年 「Sakuan.Matapaan-Hokkaido」(禅フォトギャラリー)で第29回写真の町東川賞特別作家賞受賞。2015年「STREET RAMBLER」(ギャラリー・ニエプス)で第24回林忠彦賞受賞。

本書は、2001年に写真専門の出版社である蒼穹舎の大田通貴さんプロデュースにより刊行された二冊目の写真集である。

東ヨーロッパの旧社会主義国家の街、ベルリン、ワルシャワ、グダニスク、プラハ、ブダペスト、ブカレストを1997年から2001年にかけて周り、街の風景や人々の様子をモノクロ写真で捉えている。斜めから差し込む弱々しい日の光に映し出される街並みや、陽があたり次第に水蒸気が立ち込める朝の風景、話す人、じっと口を閉ざすコートの人々、壁、凍り付く川、戦闘機や大砲などの何かしらの記号的なものたち。ベルリンの壁崩壊から数年後。あたりまえの日常を過ごす人々の様子を確かに伝えている。タイトルの「Winterlicht」はドイツ語で「冬の光」を意味する。デザインは秋山伸さん。ざらっとした粒子の荒い写真だが独特の色の紙質とどことなく艶やかな印刷が特徴的な写真集である。