クリスティーナ・ポドベッド写真集

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Kristina Podobed(クリスティーナ・ポドベッド)「Kristina Podobed」Pogo Books (Berlin)#107、2016年。

クリスティーナ・ポドベッドは、1994年ウクライナ生まれの写真家で、現在もウクライナをベースに活動している。 Vice、Dazed、Vogue Russia、Purpleなどに写真を寄稿しており、東ヨーロッパにおける新進気鋭の写真家の一人である。

2011年から写真を始め、主に自身と女友達を撮影する。当初写真は自分の体に対する恥ずかしさや不快感を克服する為のものだったが、次第に様々なものに触発されていく内に、ウクライナでの生活や魅力的な女の子やモデル、路上生活者までもが彼女の撮影の対象となった。裸をめぐる社会的なタブーに対しての疑問を掲げ、女性のアイデンティティーに関すること、例えばすべての女性が道徳的で見栄えがよく適切に行動し、ほどほどに振舞うことを要求されるようなことへの限界を写真表現で解体したいと言う。

本書に登場する女性(彼女も含む)もどことなく扇情的で時に下品であり、自由奔放な身体表現は不道徳であったりするが、それゆえにストレートに見るものの神経に直接作用するほどのインパクトがある。彼女は現在のアート、ファッション、メディア(SNSを含む)での女性の身体に関する検閲に対しての不理解を戒め、東ヨーロッパの女性に対する非人間的な扱いや、世界に広まる人形的な女性像の解体を助け、美しさには個性があり、そのままでいることへの自由を自ら証明し続けている。写真を志す(撮る、撮られる)多くの人々に届けたい作家である。「I am a daredevil」(私は命知らず)。そう言うクリスティナはあえて挑発的に、そして真っすぐにまぎれもなく今日もまたどこかで戦っている。