ヘルムート・ニュートン写真集

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Helmut Newton(ヘルムート・ニュートン/Helmut Neustädter)「Big Nudes」 Schirmer/Mosel(シルマー/モーゼル、ドイツ・ベルリン)、1990年。日本版はリブロポート/Libro Portより1991年に刊行。

ヘルムート・ニュートンは1920年ドイツ・ベルリン出身の写真家である。アメリカンスクールに通う頃より写真に興味を持ち始め、写真家エルゼ・ジーモン(Else Ernestine Neulaender-Simon)のアシスタントを務める。1938年ナチス・ドイツの迫害から逃れてシンガポールへ。ストレーツ・タイムズ社(The Straits Times-シンガポール最大の新聞社) のカメラマンを務めるが、その後はオーストラリアへ移住する。1948年にオーストラリアの女優ジューン・ブラウン( June Browne=アリス・スプリングス/Alice Springsは写真家名義)と結婚し、メルボルンにスタジオを構える。ロンドンを経て1962年フランス・パリに移住し、Vogue Parisなどの多くのファッション雑誌に作品を発表する。倒錯的なシチュエーションにフェティシズムをあおったような作品作りなど、エロティックでありながら強くてかっこいいアスリート的な女性の肉体表現でポートレイトの新しいスタイルを確立した。2004年1月23日、冬の滞在先であるロサンゼルス・ウェストハリウッド、シャトー・マーモント(Chateau Marmont)で、自らが運転する自動車で事故に遭い帰らぬ人となった。享年83歳、遺灰はベルリンに戻された。本作は最初の写真集「White Women」(Schirmer Mosel、1976年)とともに代表作となる。巻頭の序文はシャネルやフェンディ―でデザイナーを務めたカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が務める。

ベルリンのシャルロッテンブルグ(Charlottenburg,Berlin)にヘルムート・ニュートン財団が所有するヘルムート・ニュートン写真美術館(Museum fur Fotografie Helmut Newton Stiftung)がある。2003年財団が世間に開かれた機関になるようにとヘルムート自身が大量の写真を寄付したことで、多くの重要な作品群が残っている。またプライベートな映像記録や、当時使用していた撮影機材が残り、モンテカルロの仕事部屋の再現展示などもあったりと、写真家ヘルムート・ニュートンの人物像に触れ足跡を辿ることのできる場所となっている。