金村修写真集

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金村修 Osamu Kanemura「Marshmallow Brain Wash」Killer Agent、2020年。

金村さんは1964年東京都杉並区生まれ、現在も東京を拠点に活躍する写真家である。イメージフォーラム映像研究所で実験映画を学び、1986年に卒業。その後横浜にある東京綜合写真専門学校で写真家 鈴木清に写真を学ぶ。アルバイトで始めた新聞「日刊ゲンダイ」を駅構内の売店に配置する傍ら、余った時間で街を撮影していたことは有名である。在学中の1992年にロッテルダムフォトビエンナーレに招聘され作品を出品する。1993年同校卒業、その後同校で講師を務めた。2017年の卒業生に写真家の井上雄輔がいる。1996年ニューヨーク近代美術館(MOMA)の企画展「世界の注目される6人の写真家」の1人に選ばれ出品。1997年日本写真協会新人賞、第13回東川賞新人作家賞受賞。2000年「BLACK PARACHUTE EARS,1991-1999」で第19回土門拳賞を受賞する。同年にはNHKのTV番組「トップランナー」(1997年~2011年)にゲスト出演、2001年には毎日放送の「情熱大陸」に出演するなどメディアへの露出も多い。2004年アルル国際写真祭参加。2005年からは「日本カメラ」月例コンテスト・モノクロプリント部門の審査員となり、「歯に衣着せぬ」講評を行い話題となる。しかし辛辣すぎたため編集部には抗議も。2006年からはエッセイ「写真愛」を連載。2007年からは「金村修に叱られたい!」で講評を行った。その後も連載や審査員を続けるほか、専門誌「月刊家電批評」に写真批評の連載を持つ。2014年「Ansel Adams Stardust(You are not alone)」で第39回伊奈信男賞受賞。主な写真集に「SPIDER'S STRATEGY」(河出書房新社、2001年)「I CAN TELL」(芳賀書店、2001年)「In between No.12 ドイツ、フィンランド」(オシリス、2006年)「My Name is Shockhammer」(オシリス、2007年)「German Suplex」(オシリス、2008年)「Stravinsky Overdrive」(スーパーラボ、2010年)「Suzy Cream Oil Cheese」(スーパーラボ、2012年)「ECTOPLASM PROFILING」(リブロアルテ、2014年)などがある。著書に「漸進快楽写真家」~インディペンデントな仕事と生き方の発見ノート/YOU GOTTA BE Series)(同友館、2009年)。共著に「挑発する写真史」 (平凡社 2017年 、タカザワケンジ)がある。その他個展、グループ展も多数あり、現在も世界のどこかしらで展示を行っている。

本書は自身が主催する出版レーベルKiller Agentから刊行されたファーストジンであり、2018年大阪のHiju Galleryで開催した写真と映像展「Marshmallow Brainwash / Kiling Agent」に出展した作品より自ら抽出した44点で構成されている。中判フィルムカメラの比率を踏襲した小振りな本であるが、きめ細やかな印刷紙のチョイスやインクの濃淡などプリントの再現度が高い。またカッターナイフで切り込みを入れられた表紙などコレクター要素も強い作りとなっている。200部限定、ナンバーリングと作家のサインが入る珠玉の一冊である。
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