熊谷直子写真集

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熊谷直子 Naoko Kumagai「赤い河/The River」TISSUE PAPERS(01)、2017年。

熊谷さんは兵庫県尼崎市出身、東京都在住の写真家で文筆家である。幼少期より自分用のカメラを与えられ撮影を開始する。1996年単身フランスに渡り2000年まで滞在。帰国後、写真家の藤田一浩氏に師事、2003年よりフリーランスの写真家として活動を始める。雑誌「Sweet」や「 装苑」「GISELE」「JILLE」「Switch」などに写真を寄稿するほか、伊勢丹Grobal Breenキャンペーンや、LUMINEエスト新宿店、BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWSなどの広告イメージに参加し、テレビ番組のスチールや工藤阿須加などのアーティスト写真や、indigo la Endの楽曲「チューリップ」のジャケット撮影などを担当、さらには大駱駝艦舞踊公演のメインビジュアルを手がけるなど幅広い分野で活躍している。2008年には個展「anemone」(代官山 Gallery Speak For)を開催し、同名写真集「anemone」(タイフーン・ブックス、2009年)を発表。2011年、写真展「トウキョーランデヴー」(代官山 Gallery Speak For)を開催 。2014年にパリ、ロンドン、NY、東京、京都と、完成まで1年半をかけて撮影したタレント二階堂ふみのファースト写真集「月刊二階堂ふみ」(朝日出版社、2014年)のカメラマンを担当、2017年にはタレント杉咲花をイタリアの3都市で撮り下ろしたファースト写真集「 ユートピア」(東京ニュース通信社、2018年)を担当する。

本書は2017年3月に刊行されたが、刊行記念の写真展「つむぐ」(吉祥寺 book obscura、2017,11.20-12.04)を同年に開催している。そのステートメントには、

「2011年東北での震災をきっかけに気仙沼に足を運ぶようになった。同年、11月 離れて一人で暮らす母がクモ膜下で倒れ認知症になり施設で暮らし始める。毎日泣き崩れていた私に『自分の人生を生きなさい』と優しく声をかけてくれたのは気仙沼のお母さんだった。その言葉はまるで実母が私に語りかけているかのようにすっと私の身体に染み渡り、そしてこんな感情が私の中に生まれてきた。

『生まれてきて 死んでゆく それは誰しもに与えられた平等なこと過去は変えられないし ましてや未来のことなんてわからない だとしたら 目の前にあるこの人生をとことん生きてやろう』 過去6年間のそんな思いを、すっと掬い取り出来たのがこの写真集『赤い河』です。ぜひゆっくりとした時間の中で見て欲しいです。できれば朝の光の中で。(book obscuraホームページより引用)」とある。

これはとても個人的な記録であるようだが、多くの人々に共感するものがあり、だれもが通る道を指差してくれているようである。赤字で書かれた「赤い河」そのカバーの見開きに「それは やがて 海へ 出るだろうか」と書いてある。