川島小鳥写真集

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川島小鳥 Kotori Kawashima「violet diary~Angela Yuen」自主出版、2019年。

川島さんは1980年東京都生まれの写真家である。高校時代映画漬けの日々を送り、映画を撮る練習のつもりでカメラを始める。早稲田大学第一文学部仏文科に入学後は、アナログ一眼レフを手に入れ友人などをモデルに撮影を始める。大学卒業後写真スタジオに就職したが、その後街の写真屋さんでバイトを始める。この頃写真家の沼田元氣さんと出会い以後5年ほど師事する。同じころ4年間撮影していたローティーンの女の子を撮影したシリーズをバイト先に設置してあったラボ機でプリントし、時系列に並べた私家版写真集「Baby Baby」を制作し応募する。2006年同書で第10回新風舎 平間至写真賞大賞を受賞し、翌2007年の4月に写真集「Baby Baby」(新風舎)を刊行、写真家としてデビューする。その後写真家の松岡一哲さんから「5ケ月連続2人写真展」に誘われ、佐渡島在住の友人の3歳の娘を被写体とし撮影を始める。春・夏・秋・冬と撮影を続け、2009年12月雑誌「BRUTUS」の写真特集号「写真はもっと楽しくなる。」に発表、表紙を飾るなど話題となる。2010年4月二人展 松岡一哲「いおりちゃん」+川島小鳥「未来ちゃん」(Therme Gallery/テルメギャラリー、都立大学)を開催、自主出版の写真集「未来ちゃん」(テルメブックス、500部)を刊行するが即完売する。2011年4月「未来ちゃん」(ナナロク社)を刊行。両書で第42回講談社出版文化賞 写真賞を受賞する。その頃台湾での写真展の誘いを受け訪台、その後3年で約30回に渡り台湾を訪れ、約一年余りはアパートで滞在しながら撮影を行った。約7万枚の写真を撮影し2014年12月「明星」(ナナロク社)を刊行、台中、台南、高雄でも個展を開催し好評を博す、2015年同書で第40回(2014年度)木村伊兵衛写真賞を受賞する。その他の出版物としては「未来ちゃんの未来」(ウィスット・ポンニミット共著、ナナロク社、 2012年)、「おやすみ神たち」(谷川俊太郎 詩、ナナロク社、2014年)、「ファーストアルバム」(スペースシャワーネットワーク、2016年)、「愛の台南」(講談社、2017年)、「つきのひかり あいのきざし」(リブロアルテ 、尾野真千子さんと共著、2018年)などがある。

本書は香港生まれのモデルで女優のアンジェラ・ユンを、2017年から2019年まで撮影し、2019年のTABFで発表した非常に小さな写真集である。アンジェラはロックバンド銀杏BOYZの「骨」のジャケットのモデルを務め、巨匠クリストファー・ドイルの長編映画デビュー作「白色女孩/THE WHITE GIRL/宵闇真珠」でヒロインを務めるなど日本でも知名度が高い。2017年に発表された仲野太賀さんを撮影した「道」や、同年画家の小橋陽介さんとの共著「飛びます」など最近では私家版での写真集の発表が目立っている。ちなみに独特な書形はダイヤモンドをイメージしていると言う。とても小さいけれどとても見やすい不思議な写真集である。