南阿沙美写真集

photobookloop.day90

南阿沙美 Asami Minami「なんでもないよ」、2016年。

南さんは北海道生まれ、現在は東京都在住の写真家である。中学時代から妹を被写体に写真を撮り始める。高校では陸上部に所属していたが、元々絵を描くことが好きだったこともあり、札幌の美術系短期大学の油彩科に進学。在学中再び写真に目覚め卒業制作は写真であったという。2007年に上京、写真とは関係のない職に就き、週5日働きながら土日に写真を撮っていた。その後写真スタジオに入り3年3か月間勤めたのちフリーとなる。2014年「MATSUOKA!」でキヤノン写真新世紀優秀賞を受賞(大森克己さん選)。翌年札幌のsalon cojicaで同名の個展を開催、同年「シブカル祭」にも出品する。同じ年「何の記念でもない1日の写真を残してみませんか」という触れ込みのもと、親子写真を撮影するワークショップ「親子写真入門」(眺望ギャラリー テラス計画)を開催。2016年には写真と短歌を展示した「オートマチック乙女ちゃん」(SOBO、神保町)を開催、話題となる。2017年、鳥取のアーティストインレジデンス、トウフビルプロジェクトにて「豆腐の角にぶつけた頭」vol.1を制作する。その他、中2病目線のエンタメ・サブカル情報発掘サイト、中2イズムにて「だれかの彼氏」を連載(Vol.24まで、2014年)する等多彩である。「美術手帖」「クイックジャパン」「CUT」「Maybe!」などのカルチャー誌・音楽誌等で多くのクリエイターやミュージシャン、俳優等のポートレイト撮影を行っている。

主な個展に2013年「忘れたふりしてる/ pretending to forget」(TOTEM POLE PHOTO GALLERY、東京)。2016年「sheHerHers」(ART OSAKA、大阪、salon cojica、札幌)、「MATSUOKA ! 」(PULP、大阪)。2018年グループ展「ハイレゾ」(スタジオ35分、東京)。2019年には2冊の写真集をたて続けに発表し、「MATSUOKA!」(Pipe Publishing)発売記念写真展として、書肆吉成(札幌)森岡書店 銀座店(東京)奉還町4丁目ラウンジ・カド(岡山)HIJU GALLERY(大阪)汽水空港 (鳥取)ラーメンやんぐ(静岡)とツアーを敢行。写真集「島根のOL」(salon cojica)でも、HIJU GALLERY(大阪、2作同時開催)を皮切りにKiyoyuki Kuwabara Accounting Gallery(東京)salon cojica(札幌)Y Pub&Hostel(鳥取) NU(島根)とツアー展示を行った。その他現在進行中の多くのプロジェクトがある。らしい。

本書は2016年頃刊行されており、当時開催されていた「MATSUOKA ! 」(PULP、大阪)でも販売されていた、ごく身近な人々とたまたまそこにい居合わせた人たちをポートレイトとスナップ、もしくはセットアップして撮影した写真に、オリジナルの短歌のような文章がレイアウトされた非常に薄いzineである。2019年に刊行した2冊の写真集が大きな反響を呼び、作家のキャリアにおける大きな礎になったことは言うまでもないが、こんなラフなスタイルで制作された写真をできれば少し、可能ならばもっとたくさん見てみたいなとひそかに思っている。