都築響一写真集

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都築響一 Kyoichi Tsuzuki「Tokyo Style」京都書院(2003年より筑摩書房)、1993年。

都築さんは1956年東京都生まれの写真家で、編集者兼ジャーナリストである。上智大学文学部英文学科アメリカ文学専攻卒業。在学中からライターとして活躍、マガジンハウス社発行の情報誌「POPEYE」や「BRUTUS」の編集を経て、現代美術全集「ArT RANDOM/アート・ランダム」(京都書院、全102巻、1989年~)や、大竹伸朗作品集「SO」(UCA、宇和島現代美術、1991年)など、美術・建築・写真・デザインなどの分野で編集、執筆活動を続けている。1993年東京の生活感あふれる居住空間を集めた「Tokyo Style」(京都書院)を刊行、写真家として注目を集める。その後日本各地に散在する秘宝館や村おこし施設などユニークなスポットを「週刊SPA!」(扶桑社)に掲載、それらをまとめた写真集「ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行」(アスペクト、後に筑摩書房)で、1997年第23回木村伊兵衛写真賞を受賞する。また、2001年には鳥羽国際秘宝館とSF未来館の展示物を横浜トリエンナーレで展示するなど、国内外の展覧会に参加。最近では2010年特別展 「HEAVEN 」都築響一と巡る社会の窓から見たニッポン(MOCA/広島市現代美術館)や、2016年「神は局部に宿る」都築響一 presents エロトピア・ジャパン展(渋谷松濤、アツコバルー arts drinks talk)などがある。その他の出版物に「賃貸宇宙UNIVERSE forRENT」(筑摩書房、2001年)、「珍世界紀行」(筑摩書房。2004年~)、「夜露死苦現代詩」(新潮社、2006年)、「巡礼~珍日本超老伝~」(双葉社、2007年)、現代美術場外乱闘」(洋泉社、2009年)「BORO つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化」(アスペクト、2009年)、「東京スナック飲みある記」(ミリオン出版、2011年)、「珍日本超老伝」(筑摩書房、2011年)、「東京右半分」(筑摩書房、2012年)などがある他、2012年からは会員制メールマガジン「ROADSIDERS' weekly」を配信。2016年4月の熊本地震の際は、「CREA(するめ基金)熊本」を立ち上げ支援活動を続けている。(2004年に文藝春秋刊「東京するめクラブ 地球のはぐれ方」で村上春樹、吉本由美との共著をして以来ともに活動を続けている)

本書はハードカバーで厚さ30mmにも及ぶ大作で、価格は当時¥12000だった。重さも内容も全てにおいてヘビーな一冊である。「美は乱調にあり」「かわいさというたからもの」「アトリエに布団を敷いて」「安いのは和風」「モノにくるまって」「子供の王国」「住まいの必要十分条件」「街のなかに隠れる」などセンスあるキーワードで章立てされ、東京のどこかにある住居の扉を開けると広がっている世界を、ある一定のスタンスで撮影し、分別し、編集された、それ以降の氏の基本スタイルを確立した作品と言って良いだろう。現在では「ROADSIDE LIBRARY」として電子書籍化されていて、未発表のカットも追加されており、ダウンロードかUSBメモリで手元に届くようである。いずれにせよ、当時の若者文化や生活スタイル、流行やデザイン、建築的な要素も含めたあらゆる意味での時代の記録である。