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余市まで来ると本当に北海道まで来たのだという気分になる。SuicaなどのIC乗車カードが使えない小樽以西の駅にはワンマンカーの単車両が走っている。扉の横のスイッチを押して乗り込むと、間もなく大きなスキー板を抱えた海外からの旅行客で一杯になる。彼らはニセコを目指している。小樽から3つ目の駅が余市でそこから7つでニセコだがこの時期は外国人スキーヤーで一杯になる。余市には小樽やニセコのような華やかさはない。

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昨年に引き続き訪れた余市だが冬がこんなにすごい所だとは全く知らなかった。こんな所でどうやってウィスキーを作るのだ、暮らすことすらままならないのではないかと思ってしまう。訪れた日は好天だったが数日前に降った大雪のせいで今もなお除雪作業が続けられている。来る日を誤ればきっと入ることすら出来なかったに違いない。

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今年はそんな余市もここニッカウィヰスキー北海道工場がNHKの連続TV小説に取り上げられるということで密かに沸いている。「あまちゃん」「ごちそうさん」に続いて「マッサン」とは「おしん」のように「ん」がつけば当たるというジンクスでもあるのか?そしてさらに連日TVをにぎわしていたオリンピックのジャンプ競技に出場している選手の多くが余市出身であるということでも有名である。ひっそりとではあるが着実に街は湧いている。日本のウィヰスキーの父として高名な竹鶴政孝とスコットランド人であるリタの物語はTVで見て欲しいが、この厳しい土地で本物のウィヰスキーを作ろうと長い時間と年月とその人生を捧げた竹鶴政孝という人に本当に頭が下がる思いがする。すばらしい日本人だと思う。

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若かりし頃にはガイドツアーなど・・・と思っていたのだが最近は大人しく列に着いて行っている。ニッカウィヰスキーの『竹鶴』や『余市』のように独特の焦げたような深いスモーキーフレーバーはスコットランドウィヰスキーを基とした日本のウィヰスキーの特徴である。ウィヰスキーの原料である二条大麦を湿らせて麦芽にした物を乾燥する際にピートと呼ばれる泥炭で燻される。泥炭はミズゴケなどが堆積して出来た天然の燃料で、夏に乾燥させた物を冬に燃料として一般的な家庭でも使われていた。徐々に燻されながら乾燥を進めた結果、モルトには絶妙なピートの焦げた香りがついて行く。量の多いものからヘビーピーテッドモルト、ライトピーテッドモルト、ノンピーテッドモルトと分けられる。現在では品質の均一化を図る為にスコットランドのピートが使われているが、竹鶴政孝がここ余市に蒸留所を建設した頃には北海道産の麦、水、ピート、ミズナラの樽、そして石炭などを使って蒸留していたのだ。まさに日本におけるオール日本で造られたスコットランドウィヰスキーの聖地だったのである。

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前回は早足で見て回ったが、今回は比較的に時間があったのでゆっくりと蒸留所内を回ることが出来た。ツアーに参加して数々の当時の様子を語る資料を見ていると、「ここでなければ出来ないウィヰスキーがあったのだよ」と竹鶴政孝は語りかけて来るのである。1日1本のウィヰスキーを飲み干しながら、日本のウィヰスキーの未来を熱く語り続けていたのだろうか?と思いを馳せるのである。今年はニッカウィヰスキーに注目してほしい。

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