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社長の時間 01 広島


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広島は年に何度か訪ずれるようになって、比較的近い存在になってきた。要するに行きつけのイタ飯屋と常宿があるだけだが、今回はそれでは無くて別に行きたいところがある。広島駅からほんの近くに「比治山」という小高い丘がある。JR広島駅を出て、「広電」という路面電車に乗り「比治山下」で降りると真昼間の市街地のど真ん中なのにうす暗くてひんやりとした道がある、その曲がりくねったたいそうな坂道を汗だくで登っていくと、そこに「広島市現代美術館MOCA」がある。今回はここに用がある。
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「都築響一と巡る社会の窓から見たニッポン HEAVEN」という特別展を見に来た。何もそんなところまでと思うが、最近は驚くべきことに日本をリードするような個展が、地方と呼ばれる熊本や石川なんかで開催され、その完成度が恐ろしく高い。だから地方とか遠いからとか言ってられない、今すぐ飛んで行かないと大阪や東京ではやってくれないのだ。ところで「都築響一」は何だというと、本人いわく「アーチストでは無い」というが木村伊兵衛写真賞を受賞したり、「ポパイ」や「ブルータス」の編集員を務めては珍奇な写真集を出版したりもする。彼の才能はあまりに稀有すぎて説明しにくい。ただずっと興味を持っていた「‘70大阪万博」について調べると都築がいる。「梅佳代」を追いかけていると都築がいる。「アラーキー」を捜すと都築がいるので、そろそろこの男を通らなくてはいけないと思っていた時に、この特別展を見つけたのである。
展示内容については説明しずらいので割愛するがおびただしい数の写真があってまたおびただしい数の説明がある。時には聖書の預言のように貼りだされており、またただ単に説明がされてるだけのものもある。他人の部屋を体験出来るバーチャルハウスみたいなものがあり、場末のスナックのセットなんかもあり、何と言っても撮影可という展覧会は他にはない。
「HEAVEN」という図録とも写真集とも辞書とも言い難い出版物が青幻舎から¥2500で出ている。お金が余って仕方ないとか、最近あんまり退屈で何にも興味が無いって言う人がいるなら買ってみてはいかがでしょう。膨大な画像と大量の文章に埋め尽くされた、ほぼ彼がいままで何をなしてきたかという存在意義もしくは時間の証のようなものであるといえる。全部読むとぐったりする。特別展を見終わって売店でグッズを買って、帰りの道順などを聞いていると対応してくれたこの清楚な人が、いましがた秘宝館(会場の中に秘宝館もある)から出てきた僕のことをどんな目で見ているのかと思うと、どうしてまたこれを広島でやるのかという思いとともに頭が混乱する。2時間程度かかって見てしまうとくたくたになったのとお昼も過ぎていたので広島駅まで戻りお好み焼きを食べた。
広島のおばちゃんはみんな元気だ(と思う)、こてをさばく姿を見ていると島田洋七の「がばいばーちゃん」を思い出して、広島の女の人はやっぱり良く働くなと思った。が実はおばーちゃんは佐賀でおかーちゃんが広島だった。と思いなおして2杯目のビールを頼んだ。ビールNOWである。
広島現代美術館に行く前に原爆ドームに寄ってみた。原爆ドームは3度目だがいつも熱心にガイドを続けている人たちを目にする。彼女たちは広島を訪れる外国の人たちに熱心に原爆が落とされた当時の状況を刻銘に伝えているのだろう。もう65年も前のことを彼女たちは後世にそして全世界に伝えようとしている。
間違いは繰り返される、しかしそれを毎日忠告することが出来れば間違いは起こされにくいのではないかと言うのが彼女たちの解釈なのだろう。でなければこの暑い最中に無償で献身するその身は報われないだろう。そして未来の子供たちも。
広島は今年も8月6日を迎えようとしている。一番下の写真は子供達に熱心に当時の状況を説明している場面である。原爆の悲惨な状況を子供たちはどのように理解しているかは分からないが、彼らが進む未来にも原爆ドームがあり続けることを願う。戦争は無くなることは無いと思うが、川一面に浮かぶ死体を運ぶ船の説明なんかもう聞きたくないだろう。一路福岡に向かう。 。

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