サンディー・キム写真集

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Sandy Kim(サンディー・キム)「Into the Light」Pogo Books(#061)Germany、2013年。

ベルリンを拠点に主にZineベースの出版レーベルであるPogo Booksより出ているが、本書はしっかりとしたソフトカバーになっている。サンデー・キムはサンフランシスコで活躍する韓国系アメリカ人。作品を発表するたびにいろんな場所に出没する自身の姿を捉えた奇抜なセルフィーばかりが話題になるが、本書では生活空間の様々な場面に現れた「light」をうまく利用した表現が際立っている。絶妙なカラーリングの中に浮かび上がる物語の世界に浸れる至極の作品集である。

黃亦晨写真集

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黃亦晨(Sherry Huang)「如露亦如電/Love Remains」self-published/ 個人出版、2016年。

台北出身のシェリー・ファンのファースト写真集である。タイトルの「如露亦如電」は仏教用語で、すべての物事は何かに起因していてまるで夢や幻覚のよう、露や稲妻と同じですという意。すべての写真は彼女自身に起因していて自己に起こる身体的変化や感情の変化を表現することで、自己への探究や性や愛に対する率直な問いがなされている。「Love Remains」と後に付与されたような副題が物語るように露の如く儚く時には稲妻の様に瞬く間に光っては消えていくそんな情景を表しているのだろうか?全編モノクロの世界観がsmyth-sewn binding といういかにもほころびそうな危うげな製本と相まって心に届いてくる。

石川真生写真集

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石川真生 Mao Ishikawa「赤花 アカバナー 沖縄の女 / Red Flower:The Women of Okinawa」Session09/Session Press.NYC、2017年。

1975年から1977年にかけて米軍キャンプ近くのコザや金武の黒人米兵専用バーで働いた自身やホステス達、客、さらには黒人の彼氏との日常を写し撮った写真である。自由奔放であからさまのように見えるが、限られたパラダイスの中でかりそめの時間を謳歌するようにも見えてどこか哀愁が漂う。アカバナーはウチナーグチ(沖縄弁)でハイビスカスのこと。別名仏桑花(ブッソウゲ)とも言われる。2013年に幻の処女作と言われた「熱き日々inオキナワ(1982年)」をフォイルより復刻しているが、その3年後に新たにタイトルを変えて未発表作品も加えて再編集するに至る理由が、本書のどこかに隠れているような気がする。

岡田敦写真集

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岡田敦 Atsushi Okada「I am」赤々舎、2007年。

岡田さんは1979年北海道生まれ。作品を発表するたびにセンセーションを巻き起こしてきたが、自身もまたメディアでの露出も多く売れっ子でもある。この写真集は自傷経験を持つ若者達に焦点を当て「人間が生きているということに根源的な差異はない。」と言うように普遍的なポートレートとして捉えているが、その写真からはことごとく人間の生の部分が削ぎ落とされているように感じる。手の込んだ造本で銀の装丁に我が身も映り込むのでドキッとする。さらに彫刻家船越桂氏文の真っ赤な帯が効いている。銀は刃で赤は血の色か?アートディレクションとデザインは町口景さん。第33回木村伊兵衛賞受賞。題字は誰が書いたのだろう?

モルテン・アンダーセン写真集

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Morten Andersen(モルテン・アンダーセン)「Jetlag and Alcohol」Self published/Shadowlab(Oslo)、2009年。

アントワーヌ・ダガタの写真集「VORTEX」の表紙写真を撮影したことでも知られているモルテン・アンダーセンは1965年ノルウェー生まれ。

1990年から91年にかけてニューヨークを訪れて昼も夜も写真を撮り続けた。歩道や電車の中、バーやナイトクラブでカメラを向けて、笑う人、酔い潰れる人、踊る人、眠る人、遊ぶ子供などを捉えているが、そのいずれかはぼやけていたり傾いていたりまだ醒めていないような表現になっている。ニューヨークという都市とそこに暮らす人々をぼやけた知覚越しに捉えたということだろうか?タイトルは直訳すると「時差ぼけとアルコール」ということになる。