張鈺写真集

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張鈺 / YU CHANG「夢遊,台北。/ Somnambulate Taipei」2020年、「城市副作用 / Side Effects of City」2021年、自費出版。

張さんは 1989年スイス生まれ、現在は台北在住の写真家である。台北を中心に台中・墾丁などを撮影し、これまでに2冊の写真集を刊行している。ウェブページの通りだと人物、女性、印象と3つの視点から都市を撮影し、丁寧に自身でプリントし出版に至っているようである。町なかに現れる特異な人々に、魅力的な女性達に、そして街に見つける印象的な風景に、作家の見つめる台湾の姿が写し出されている。非常に困難な時代を焼き付ける写真家の一人として、今後とも長く活動してほしい作家のひとりである。

夢遊,台北 : A4サイズ、並製本、87頁、モノクロイメージ83、2019-2020。
城市副作用 : 23.6×25.6cm、上製本、83頁、モノクロイメージ72、2020-2021。

ヴィヴィアン・サッセン写真集

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Viviane Sassen(ヴィヴィアン・サッセン)「Sol & Luna(Second Edition)」Libraryman/Stockholm, Sweden、2013年。

ヴィヴィアンはオランダ アムステルダム生まれ、在住の写真家である。世界的に活躍するファッション、コマーシャル写真家であり、数々のファッションブランドや企業のイメージビジュアルを多く手掛ける。また父親の仕事の関係で幼少時代をケニアで暮らした経験からアフリカをルーツに持つ作品世界を多く手掛けている。

本書は 2009年にスウェーデンのメンズファッションブランド「OUR LEGACY」のために撮り下ろしたコンセプト・ブック(番号付き、300部限定、20,5 x30,5cm、32頁、クロス装、上製本)としてリリースされたものを、2013年に2ndエディションとして同出版社から再刊されたものである。「androgyny(両性具有)」と「beauty(ビューティー)」をベースとして「SOL & LUNA(太陽と月)」をテーマに、ボーイッシュなモデル Annemarijeにメンズウェアーを着せて、淡いトーンのモノクロ写真で表現している。とても秀逸な写真集であることは言うまでも無い。番号無し、1000部限定、ポスター付、26x31cm、32頁、クロス装、上製本。

陳哲写真集

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陳哲「蜜蜂&可承受的」第一版二次印刷、假杂志有限公司、2018年/Chen Zhe「Bees & The Bearable」(2nd edition)Jiazazhi Press.2018

陳(チェン)さんは、1989年 中国 北京生まれの写真家である。2011年 ロサンゼルスのアートセンターカレッジオブデザイン写真専攻にて学士号を取得する。同年「Bees & The Bearable」で 第3回三影堂撮影大賞を、2012年には連洲写真フェスティヴァル年度賞、2015年 Xitek・ニュー・タレント・アワード、2016年には同名の写真集でカッセル・フォトブッ ク・フェスティヴァル最高賞を受賞するなど多くの受賞歴を持つ。2018年には東京写真美術館で開催された「愛について アジアン・コンテンポラリー」の出展作家となり初来日し、日本で最初の展示を行う。

本書は自身の自傷行為を捉えたセルフドキュメントである「The Bearable(可承受的)」(2007-2010)と、それに続き、自身と近い経験を持つ人たちを取材した「Bees(蜜蜂)」(2010-2012)の2つのシリーズから成るが、8頁の中綴じの写真冊子19編を、一回り小さいA5サイズホッチキス留めのテキストブックが挟み込んでいる複雑な造本となっている。被写体と交わした日記やメモ、手紙やチャットのやり取りなどを記した多くの言葉が、写真とともに重要な位置付けであることを伝えている。テキストブックに大きく記載されたページ表記の数字は280で終わっているが、傷を負い自ら血を流す自身と似た境遇を持つ人々の取材を通じて、多くの気づきやリサーチのプロセスなどはファイリングされナンバーリングされて、表紙もなく裏表紙もないむき出しのまま、しっかりとした外袋におさまっている。210 x 260×25 mm、280頁、カラーイメージ75、テキスト40頁、並製本、初版600部(2016年)、2nd800部(2018年)

Eva-Maria Fahrner-Tutsek, Petra Giloy-Hirtz写真集

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Eva-Maria Fahrner-Tutsek, Petra Giloy-Hirtz「About Us-Young Photography in China」Hirmer Verlag(独)、2021年。

本書は、2000年にAlexander Tutsek(1927–2011)とEva-Maria Fahrner-Tutsek(1952-)によりミュンヘンで設立されたAlexanderTutsek-Stiftung(非営利財団)のコレクションの中から、40人の中国人アーティストによる約150作品をまとめた写真集である。1990年代から現在まで制作された作品が収録されている。作家名にはAdou, Birdhead, Cai Dongdong, Chen Huanfa, Chen Ronghui, Chen Wei, Gao Mingxi, Huang Xiaoliang, Jiang Pengyi, Zhi Jiang, Liang Xiu, Lou Yang, Pao Basil, Pixy Liao, Ren Hang, RongRong, RongRong & Inri, Shan Feiming, Sun Yanchu, Wang Bing, Wang Ningde, Wang Xia Hui, Wen Fen, Wenjun Chen & Yanmei Jiang, Yang Fudong, Zhang Huan, Zhang Kechun, Zhang Xiao, Zhao Robert Renhuiなどがある。25x30 cm、296頁、 239カラーイメージ、ハードカバー。

内倉真一郎写真集

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内倉真一郎 Shinichiro Uchikura「私の肖像」赤々舎、2020年。

内倉さんは、1981年宮崎県生まれの写真家である。日本写真映像専門学校大阪校を卒業後、六本木のアートプラザスタジオで勤務し、その後独立する。2009年 宮崎県に戻り実家の内倉写真館 (Studio Uchikura)の二代目として働きながら、現在も宮崎県で活動している。2018年道端に落ちているゴミを捉えた作品「Collection」で、 第41回キヤノン写真新世紀優秀賞 (澤田知子選)を受賞。 第33回・34回・36回キヤノン写真新世紀佳作(2010年清水穰選、2011年大森克己選、2013年椹木野衣選)があるほか、多くの受賞歴をもつ。2020年10月 写真集「私の肖像」(赤々舎)を刊行し、同名の写真展をKANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY(西麻布)にて開催する。その他の写真集には、ともに2019年に自費出版として刊行された「十一月の星」「Collection」があり、わその他の個展として、2016年「犬の騎士団」(Gallery Main、KG+Award)、2020年「私の肖像」(ブルームギャラリー)などがある。

本書は写真館に来るお客さんの中にモデルを見つけ、手持ちのカメラで5分から10分の間に500から1000カットを連写し撮影されたポートレート集である。あまりのことで我を失い呆然とする人や、より活動的にふるまう人など、せまられる状況下で見せる無意識で本質的な表情や仕草を捉えている。しかしながら多くの場合において表情の大部分が欠落しており、様々にセットアップされている場合ほど、あるいは架空の存在ではないのかと思えて不思議である。写真館のカメラマンとしての本来の意義を超えたところで撮影されたこのシリーズは、ファッション写真に近い領域にまで達していて、非常に見応えがある。