イザベル・ヴェンツェル写真集

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Isabelle Wenzel (イザベル・ヴェンツェル)「Counting Till Ten」Art Paper Edition、2020年。

イザベルさんは、1982年 ドイツ生まれのアクロバットパフォーマーであり写真家である。「10まで数える」というタイトルが示すとおり、セルフタイマーが切れる数秒の間に、固定されたカメラの前で、即興的で直感的な重力をも無視したような不安定なポーズをとり、自らを撮影している。様々な場所で様々にセットアップされたパフォーマンスを見せているが、三脚にセットされたカメラごと撮影されたカットもあり、撮影する行為自身が作品であることを強く意識させている。カメラが彫刻家であれば自身はモデルであり、自身は単なる物理的な形としての身体であるとしている。19×27cm、176頁、上製本、500部。 

二川美知枝写真集

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二川美知枝 Michie Futagawa「やがて来たりぬ」「みなぎわに躍る」自費出版、2017年。

二川さんは岡山県生まれ、現在は大阪を拠点に活動する写真家である。2020年 京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)通信教育課程 写真コースを卒業する。両書は 2017年の8月25日付で刊行され、同じ書形をとる双子のようである。人為的に形成されたものが年月を経るうちに次第に風化していく。そんな時のうつろいを感じさせるモノクロームの写真集「やがて来たりぬ」。ものごとの後先の一瞬の躍動感を切り取ったようなカラーの写真集「みなぎわに躍る」。卒業制作である「あとのあとは/後の後であり/後の跡でもあり/後の痕でもある」は、7月6日より東銀座のIG Photo Galleryで初個展として開催される。過去に大規模な地震や火山活動があった場所を訪れ撮影された本作は、自然と人間のうつろいを見つめてきた作家の真骨頂である。
以下、ギャラリーからの情報です。

二川 美知枝個展
「あとのあとは/後の後であり/後の跡でもあり/後の痕でもある」
  • 会期:2021年7月6日~07月24日
  • 場所:IG Photo Gallery
  • 〒104-0061東京都中央区銀座三丁目13番17号 辰中ビル3階
  • 東京メトロ日比谷線、都営浅草線「東銀座」駅下車
  • 会期中のイベント情報はこちらから
  • https://www.igpg.jp/index.html

パク・スンジン写真集

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Sung Jin Park (パク・スンジン)「Southern Breeze」Alter.Ego Books、2019年。

パクさんは、韓国ソウル生まれの写真家である。ニューヨークPratt Instituteで写真と絵画を学び卒業。現在はニューヨークとソウルを拠点に活動している。2001年から2008年にかけて韓国のスクールキッズを捉えた「Kid Nostalgia」(Propaganda Press、2014年)は話題となる。本書は、2014年頃休暇で何度か訪れたタイの街で撮影されている。埃っぽい街の中をスクーターや様々な乗り物に乗る人々の様子、屋台や広場に集う子供達、キャバレーで働くLadyBoyの姿など、夕刻から夜にかけて徐々に色めく街の中で生活する人々の息遣いを、熱帯に吹き込む南風のようにさらりと伝えている。全編モノクロの淡い色づくりの写真集をめくると、かがり綴じの剥き出しの背がスイス装の奥背に引っついて音を立てる。ざらりとした手触りのクロス装が本書にはよく似合っている。A4サイズ、モノクロ、タイトルは奥背箔押し、クロス貼スイス装、限定300部となる。

松下知之写真集

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松下知之 Tomoyuki Matsushita「東京 A」自費出版、2016年。

松下さんは、1987年 静岡県生まれの写真家である。2009年より外苑スタジオで勤務後、2012年よりフリーランスとして活動する。2013年 NEW GENERATION PHOTOGRAPHERS 2013(コマーシャル・フォト編集部)に選出。写真集に「東京 A」(2016年)「数日間のダイアリー」(2017年、いずれも自費出版)があるほか、2016年にはクラウドファンディングcampfireで制作した「THE TIME OF YOUTH」がある。

本書には東京のいくつかの場所で撮られたスナップや、何人かの魅力的な男女をモデルとして捉えたポートレイトがあり、象徴的に挟まれるモノクロや天体などのイメージが混在する。ストリートスナップの要素を巧みに取り込んだファッションフォトのようであり、様々な境界を縫う様に編まれた絶妙な浮遊感があり、全体を通して親密な空気感が漂う写真集である。背表紙以外にタイトルはなく、ステートメントも見つからないが、この続きがどこかにあるのだという遥かな希求に苛まれる。今も「THE TIME OF YOUTH」を見てみたいし探したいと思っている。A4サイズ、70頁、ペーパーバック、限定100部。

Romain Jacquet-Lagrèze写真集

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Romain Jacquet-Lagrèze「Wild Concrete」2014年。「Concrete Stories」2018年、Asia One Publishing。

Romain Jacquet-Lagrèzeは、香港を拠点に活動するフランス人写真家である。2009年に香港に移り写真を撮り始める。Blue Lotus gallery所属。いくつか魅力的なシリーズを持つ写真家であるが、タイトルがコンクリートで共通する二つの写真集がある。「Wild Concrete」は、香港の繁華街に建つ住宅群の中に見つけるコンクリート製の壁やほんのわずかなスペースに発芽し過酷ともいえる環境下で生存している植物と、それらが生息し駆逐されていく住宅に焦点が当てられており、生命力のある亜熱帯の植物を捉えながら、香港の人々の生活にまで表現は及んでいる。多くの場合住宅の老朽化は進み、遠くに高層の最新建築も見える。一方「Concrete Stories」は集合住宅やオフィスビルの屋上にフォーカスしており、洗濯物を干す人、体操をする人、語らう人など、様々な目的をもってやってくる屋上の人々を捉えている。作家は、中には屋上バー、屋上農場、屋上養蜂場、パーティーや映画上映館などもあり、プライベートでありパブリックでもある香港の屋上は大変意義のある空間である。と語っている。Wild Concrete:190 x 276mm、160頁、上製本。Concrete Stories:245x285mm、104頁、上製本。