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5月30日(月) この頃立杭が

信楽の里にはその後も訪れて自分用の焼き物をいくつか買った。信楽には信楽に似合いの田園風景が広がっていて、そこにはそこに住んでいる人だけの温かみが感じ取れる。最近はなんとなく終の棲家を探しているような気がして来ている。それを察知したのかここには住めないと連れ合いは言う。

さて日を開けず今度は丹波立杭に向かった。どうして立杭焼きと呼ばれるのかは知らないが、場所で言うと兵庫県篠山市今田(こんだ)町周辺で焼かれる焼き物のことを指していう、そして六古窯の一つにも数えられる。大阪からも車で高速を使えば1時間ほどでたどり着く。

ふらりと出るのも何なのでちょと調べると陶(すえ)の里と名付けられた陶芸をテーマにした丹波伝統工芸公園があり、その中に丹波にある57程の窯元の焼き物が並ぶ窯元横丁がある。

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丹波立杭・陶の郷窯元横丁
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窯元横丁内部

中に入ると畳1畳ほどに区切られたスペースに窯元の味わいたっぷりに焼き物が飾り付けられている。それぞれの窯元のさわりだけを感じ取るにはもってこいのところだ思う。

陶勝窯だと思うが不思議な味わいの黒い湯呑を一対とコーヒーカップを一つ買った。カップのほうは最近はお気に入りとなって事務所のテーブルに置かれている。

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不思議な味わいの茶碗

最近のお気に入り

それから一つだけ実際に訪れたいなと思った窯元があったので向かってみる。そういう意味でもむやみに窯元を訪ね廻るよりもずっと経済的で助かる。

陶の里からほどなくまるせ窯に着く。中に入るとたくさんの焼締めの焼き物が並ぶ。おかみさんが出てきてしばらくの間お話を聞いてみると、最近は穴窯に火を入れる機会もめっぽう減って年に一回か2回ほどになってしまったと言う。

それが時代なのだろう。求める人がいるからこその供給なのだと思う。いいものでも需要がなければということだ。それでも悩みに悩んで焼締めのカップを2割ほど負けていただいて購入する。僕もちょっとだけ頑張ってみるので窯元さんもこれからもずっと頑張っていただきたいと思う。

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まるせ窯
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焼締めのカップ

それから集落にのこる45mほどある登り窯をちょっとだけ見学して、今日のメインイベントのこんだ薬師の湯 ぬくもりの里に向かった。こういうイベントが無ければ焼き物探訪の旅に付いて来てくれるお伴を探すのに苦労する。

しかしこのお湯、なかなかのお湯なのである。日帰り温泉ではあるがそのお湯がとにかくいい。いかにも源泉かけ流しという感じのぜいたくな温泉だった。わざわざ訪れてみても損はない。

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45mある登り窯
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こんだ薬師温泉 ぬくもりの湯

こうやって信楽・丹波立杭と速足で回ってみて、とにかく何度か訪れてみるといいこともあると言うことだ。伝統はいつも塗り替えられるから伝統なのだとつくづく思う。そして時々この田園風景の中に訪れて、市場より何割か安い焼き物を手に触れて、窯元さんと触れ合いながら手に入れた焼き物ならずっと大事にするしまた行きたいなと思うのである。この頃立杭が熱いのである。

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